クリニック職員への手当、どんな手当があった方がいいのか
職員への給与制度は「基本給」と「手当」で構成されます。
今回は手当についてお伝えしようと思います。
手当についてはクリニックさん毎に支給する手当の種類が違います。それは院長の考え方によって支給する手当も変わるためです。
もちろん、一般的に支給されている通勤手当、残業手当、資格手当等は共通していますが、それ以外の手当はクリニックによってまちまちです。
1,手当支給の考え方
手当とは本来「基本給では補えない部分を補完する」目的で支給されるものです。基本給は勤続年数や能力によって上がっていくことが多いのですが、手当は何らかの支給目的に従って決まった金額を支給する考え方を取ります。また、当然、支給目的に該当しなくなった場合には手当も外します。
例)
- 特定の資格に該当:○○資格手当
- 役職に就任:○○役職手当
- 特定の業務に従事:○○業務手当
賃金設計上からは、出来るだけ手当の種類(名称)はシンプルでわかりやすいするのが望ましいと言えます。支給目的、支給金額を明確にしたうえで「該当する場合には定められた基準に従って支給し、該当しない場合には支給しない」という公平性がなければ、手当を設定する意味がなくなってしまいます。
例えば、リーダーという職位になりリーダー手当を2万円支給しているケースで、リーダーでなくなったにもかかわらず2万円がついたままになっていることがあります。リーダーという業務をしてもらうために手当を上乗せしたにも関わらず、その任に無いスタッフまで同額の支給がされてしまうと不公平な状態となってします。
2,個人的な事情によって支給される手当は廃止傾向
手当てには、職務に対して支給される手当と個人の生活に対して支給される手当に分けられます。そのうち、後者の手当は近年、廃止傾向にあります。
仮に、同じ年齢、同期入職、仕事能力も同じのスタッフ2名がいて、片方には3人の子どもがいて、片方は独身という場合等は数万円の格差がつき、それが不公平という見方があるためです。クリニックへの貢献という観点で考えた時に「貢献の度合いは同じなのに賃金は違うことには問題がある」とする傾向が強まってきているようです。ちなみにこのような手当には次のようなものがあります。扶養手当、住宅手当、単身赴任手当、家族手当等。
3,手当を新しく設定する場合の留意点
賃金はスタッフに意欲的に働いてもらうため、その支給方法(手当名称)にはいろいろな工夫をとりいれているクリニックもあります。どのような手当を支給するかということは、
それをつける、つけないということは「いかにモチベーション高く働いてもらうか」という観点で考えていく必要があります。
例えば、
- 患者さんが一日に○人超えたら、当日出勤している全員に「繁忙手当」
- 急にスタッフの一人が退職し、4人体制のところしばらくは3人体制で乗り切らなくてはならない場合、残ったスタッフに月1万円から2万円の「繁忙手当」
- 急な欠勤で、シフトに空いた穴を埋めてくれた時の「特別手当」
というように院長が求める行動を実行してくれたことに手当で報い、またスタッフのモチベーション低下を招かないようにすることが支給の目的です。
いずれにしても、その手当を支給することでスタッフが意欲的に取り組み、クリニック全体が、院長の目指す方向に向かうことが大切です。どのような手当を支給し、だれに対していくらつけるのかを明確にすることで不公平な格差が生じないような配慮も必要です。また、その内容は賃金規程にもれなく記載し、支給目的、支給対象者(限定する場合)、支給金額等を記載しておくことがとても大切です。
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