クリニック職員のメンタルヘルス対策 「メンタル疾患」の疑いがある職員への対応
職員の異変を早期に発見し、いち早く対処する
いつもまじめに出勤していた職員に、遅刻や欠勤が目立つようになるなど、これまでになかった行動がみられるようになった時は、いつもと違う職員の様子に細心の注意を向けるようにしてください。
職員が「眠れない」「イライラする」と口にしたり、「できません」「どうせ私は~」など、マイナス思考の言葉が伴う場合は、「うつ病」の可能性もあります。
そのような場合本人の承諾を得て、専門医などに診てもらってください。
職員のうつ病の対応は、専門医など指示を仰ぎ、常に連携を取ることが重要です。院長が一人で抱え込むようなことは絶対にしないでください。
「いつもと違う」と判断する職員の様子にはつぎのようなものがあります。
- 遅刻・早退・欠勤が増える
- 表情や動作にも元気が無い
- 休みの連絡がない(無断欠勤)
- 不自然な行動が目立つ
- ミスや事故が目立つ
- 服装が乱れている
- 報告相談、職場での会話がなくなる 等
「いつもと違う」職員の様子にいち早く気付く為には、日頃から職員に関心をもち、職員の正確や特性をきちんと把握しておくことが必要です。そしていつでも院長に相談しやすい雰囲気づくりをしておくことも大切です。
院長は職員の変化に気づくという重大な役割を担っています。職員のメンタルヘルス対策は、院長がキーパーソンになります。
休職の適用について制度的な確認をとる
メンタル疾患の疑いがある職員に対して、安易に「休職して休んだら」などと話してはいけません。休職させるかどうかは慎重に準備して、院長が決定する必要があります。
休職は法律で決まっているものではなく、各クリニックが任意に設ける制度です。
従って設ける場合には、「休職の期間」「復職の判断基準」「復帰の際のシフト」など詳細を、独自に就業規則に定める必要が有ります。特に「休職中の社会保険料」については、休職中の徴収方法なども決めておく必要があります。一般的には治療は長引きますし、だからと言っていつまでも休んでいたらクリニックとしては負担が増えます。休職期間を設定しその期間を過ぎても復帰できない場合には「自然退職」(解雇ではない)となる規程も決めておく必要があります。
院長としては就業規則に基づいて、医師の診断書や意見、家族からの情報、職場の状況などを総合的判断した上で、休職させるかを決定することになります。職員から「〇〇か月休養を要する」という診断書が提出された場合、自動的に休職になるといった誤解がありますが、休職させるか否かはクリニックつまり院長の判断となります。具体的な判断基準がない段階で、安易に職員に休職の話をしないように気を付けましょう。