遅刻してきたスタッフが、その分残業をしたので割増賃金を請求してきた。支払いは必要か?
結論から言うと、その日の労働時間が8時間を超えていなければ、時間外労働の扱いをする必要はなく、割増のない通常の給与を支払えば十分です。
1.法定労働時間の8時間を超えた時間が時間外労働
業務が法定労働時間の8時間を超える場合には割増賃金を支払う必要が有ります。
そのため、残業しても一日の実労働時間の通算が8時間を超えない時は、割増賃金を払う必要はありません。
因みに、遅刻ではないのですが、事業所の一日の所定労働時間が7時間の場合に8時間労働しても割増賃金の支払いは不要となり通常の賃金を支払えばそれでOKです。
たまに7時間半労働のパートさんが8時間働いた場合、30分の残業として割増賃金を払っているケースがありますが、この場合も上記同様、8時間を超えなければ割増賃金の支払いは不要です。
2.遅刻に対する指導は必要
遅刻をしてきたにもかかわらず残業代を請求してくる時点で、遅刻を反省しているようには見受けられません。あたり前のことですが、遅刻をするということは、どれだけ関係者に迷惑をかけるかをしっかり反省してもらわなければなりません。
決して、うやむやにしてはならないことですし、放任していると常態化することにもなりかねません。
従って、「遅刻したことは悪かった」と本人が認識するペナルティーの仕組みが必要です。
まずは、ノーワークノーペイの原則より、不就労分は給与から控除します。そして給与明細にも「あなたは10分遅刻したから、その分給料がマイナスされている」とわかるように通知することも意識づけには効果的です。
更に遅刻を重ねた場合には、遅刻届を提出させ遅刻した理由を記入しもらい、書面に残しておきます。それでも遅刻が治らない場合には、懲戒処分ということになり、始末書を書いてもらったり、減給処分を検討したりすることになります。
減給処分として、ノーワークノーペイの原則を超える罰則を与えることも出来ます。
但し、減給処分を行う場合には「就業規則に根拠規定を定める」「減給額は労基法の定める範囲内とする」などの規制があるため注意が必要です。