クリニックスタッフの人事評価と昇給ルール

長く勤めたいと思っているスタッフにとって「頑張れば給料を上げてもらえる」ということはモチベーションにつながります。
反対に「どのくらい上がるかわからない」「そもそも上がるかどうかすらもわからない」という状況では、将来への不安を感じるスタッフもいるでしょう。

もちろん、昇給はクリニックの経営状況で出来ないこともありますが、出来るだけ標準的な目安をつくり「大体、毎年これくらいは上がる」というメッセージ性を出していくということは、スタッフの勤務意欲を高める一定の効果があります。

昇給額はクリニックによって様々ですが、効果的な昇給基準作りには以下3点を抑えるといいでしょう。

  1. 長期間(10年以上)同等額で昇給し続けられるか
  2. 昇給がスタッフの勤務意欲につながっているか
  3. 地域の職種別の賃金相場と比べ、見劣りしないか

クリニックによっては、毎年1万円の昇給を行っているところがあります。ただ、毎年1万円の昇給は、10年で10万円の月給がアップすることになります。月給18万円であった方が28万円になるわけです。因みにですが、一上場の大手企業でも平均昇給は7千円程度です。

また昇給する年としない年があると、昇給できなかった人は「私は評価されていない」「先生が認めてくれていない」と感じるスタッフが出ます。これでは、せっかく1万円昇給しても逆に、モチベーションの低下を招くこともあります。できるだけ、毎年昇給できる金額に設定しておくことがポイントです。

データによりますとクリニックの平均的な昇給額は2000円から4000円です。
例えば毎年3000円昇給した場合、10年後は月給が3万円アップとなります。
仮に月給20万円の事業所の場合、10年後の月給が23万円になります。
経験10年の中堅スタッフとしては妥当な給与設定と言えるのではないでしょうか。

参考までに職種別の全国平均昇給額を記載しますが、病院でも4200円程度です。この額からみても、クリニックで2000円から4000円の昇給であれば、妥当な額と言えるのではないでしょうか。

毎年昇給額を変えるのが面倒で、とりあえず一律3000円とする院長もいます。
ただ、一律の昇給では、頑張っても 頑張らなくても同じ賃金がもらえるため、モチベーションを落とすスタッフが出てきます。
評価に応じた昇給額を設定し、働きぶりに応じた昇給額としてそれを本人にしっかりとフィードバックすることで、頑張りを認める風土を作っていくことが大切です。

例えば 医療事務 評価S:5,000円 A:4,000円 B:3,000円 C:2500円 ・・

また、人事評価を行う場合には、評価内容(評価シート)をスタッフに公開することをお勧めします。
そうでなければ、院長の思いとは逆の方向で頑張るスタッフや、本人が頑張っていると思っても、そのレベルに大きな差が出てしまうことがあります。

院長の求める行動を可視化し「この方向にがんばってほしい」というメッセージを伝え、組織全体がその方向に向かって進むことが大切です。

まとめ

  1. 昇給ルールの作成で、スタッフは安心して働くことができ、定着とモチベーションにつながる。
  2. 昇給水準は、昇給が最低10年は持続可能な水準を目安に。
  3. 評価制度を導入し、評価結果を昇給額に反映させる仕組みに。

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