「今週末で退職したい」という急な申し入れがあったときにどう対処すればいいのか?

1. 〇か月前に申し出る合意退職のルールを決める

多くのクリニックでは採用状況が厳しく、特に有資格者は短期間では候補者が見つからないケースもあります。スタッフの退職で、代わりのスタッフを採用したり、引継ぎが終わるまでは退職を待ってもらいたいというのが本音だと思い思います。

そのため就業規則に「自己都合の退職は〇か月前には退職願を提出すること」と定め、退職願いは「クリニックの承認を前提にした合意退職の申込」と解釈できるよう就業規則などで規定し、突然の退職をけん制できるようにします。ただ、申し込みの期間をあまり長く設定する公序良俗違反として無効になることもあります。一般的には、1か月~3カ月前というところでしょうか。

2. 一方で、民法の規定も知っておかなければなりません。

民法627条では、期間の定めのない契約の場合には、2週間前に申し出れば退職できる旨が定められています。仮に就業規則で1か月間前に申し出る旨の規定があったとしても、民法が優先され、1か月前のルールを守らなかったとしても損害賠償請求等は難しいと考えられます。

しかし、社会人の基本として、退職する際に迷惑をかけないことや引継ぎを十分に行うことはとても大切な基本と言ってもいいでしょう。その観点から、就業規則に記載のある退職申出ルールはきちんと伝え、理解を促すようにしましょう。クリニックの状況や採用の状況について説明し、理解を求めることで、可能な限り留保し、承諾を引き延ばして退職時期を交渉することは法律違反になるわけではありません。

実務上、退職金を上乗せしたり、手当を支払ったり、残っている有休を買い取ったりするなど、円満退職に向けて工夫をすることもあります。但し、それが労働者の退職の自由を奪う、無理強いになってはならないことはいうまでもありません。

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