台風接近などの予想で職員の出勤が難しくなる場合の勤務対応について

予報によれば、通勤時間帯を台風が直撃し、通常通りの出勤が難しくなる可能性が高い場合に、勤務をどのようにすればいいのか、また休診にした場合の給与はどのような扱いになるのでしょうか。原因は台風による休診なのですから、給与を保障する義務はないように思われますが、はたしてそれは法的に見て正しいのでしょうか。

原則として「使用者都合による休業」にあたる

まず給与の扱いですが、原則として「使用者都合による休業」にあたり、休業手当(平均賃の6割以上)を支払う必要があるものと考えられます。

休業手当のルールは労基法に定められておりますが、ここでいう「使用者都合」がどの程度まで及ぶかですが、最高裁判例によれば「責任者の責に帰すべき事由」をより広く捉え、経営判断全般に及ぶものと解釈されます。この判例の考え方を適用すると、台風により通勤が困難となることが確実視される状況とはいえ、職員を休ませること自体は院長先生の判断によるものですから、広い意味での使用者都合にあたるという考え方となります。

この会社には違和感を感じる方もいるかもしれませんが、労基法の休業手当の趣旨は、労働者が予期せぬ事情により収入を得る機会をなくすようになることを回避することにあり、このため民法により広い解釈で使用者に対して給与保障を求めていることになります。

天災発生時の職員の勤務・賃金の扱いについて

このような天災発生時の職員の勤務・賃金の扱いについてケースに分けて決めておいておく方がよいでしょう。

①院長判断で休診を決定した場合

クリニック都合の休業により職員が欠勤したものと扱う。給与は欠勤控除となるが休業手当の支払(日給の6割相当)⇒差引日給の4割相当が減額となる。

➁院長判断で診療を決定した場合

職員は来れるひとだけ出勤してもらうこととして、出勤不可能な人は職員都合での欠勤として扱う。この場合その日は欠勤控除となり日給相当が減額となる。また出勤可能な職員は通常勤務として扱う。尚、交通機関の遅延で遅刻して出勤した場合、原則賃金控除が認められるが、事情を考慮して通常勤務扱いとするのが妥当と妥当と思われる。                              以上

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