介護業界の経営~人材確保対策の視点から~
人材確保対策は大きく分けて人材採用、人材育成、人材定着に分けられます。
その中で最も力を入れなくてはならないのは「人材の定着」であると私は考えます。
例えば、想像してみてください。ひとつの浴槽があったとします。その浴槽には湯が溜まっていますが、栓が抜けておりどんどん湯が少なっていきます。湯量が減っていくので、蛇口から大量のお湯を入れていますが、湯は思い通りにたまりません。この現象を「湯量=スタッフ数」として考えてみると、湯を溜めるためには、まず何を優先すべきでしゅうか?
重要なのは「人材定着策」
もうお分かりですね!まずは、浴槽にしっかりと栓をすることです。つまり「浴槽の栓をする=現在在籍するスタッフを離職させないこと」つまり「人材定着策」が何よりも重要なのです。どの事業所でも人材確保と言えば、求人などでの採用をメインにおいた施策を展開されますが、その発想自体、視点がずれているということになります。
現職のスタッフが辞めると、どんな影響があるか・・・ぎりぎりの人員で回している職場であれば、その負担が他のスタッフにいき、他のスタッフが疲弊し、辞めていくといった連鎖退職なども珍しくありません。また、求人活動にも風評被害の影響がある場合もあります。多くの事が、退職をきっかけに「負のスパイラル」が回ってしまうようなケースがとても多いのです。
ましてや労働力の不足により、今後はさらに新規採用が困難になることは明白です。したがって今いるスタッフの働きやすさや待遇を見直し、長く定着してもらうという事にまず主眼を置くことが、人材確保策として、最優先の「打ち手」となります。
今の介護業界全般で定着策が機能していない
次に浴槽の栓をして湯の流出が防げれば、蛇口から「湯を注ぐこと=人材の採用」により、人材確保は次第にうまく機能してゆきます。さらに、浴槽のお湯を適正な温度に保つために、「保温する=人材を育成する」という事が大切になります。
今の介護業界全般に共通して言えることは、このたとえ話の「栓」がしっかりと出来ていないこと、つまり「定着策が機能していないこと」が、より一層深刻な人材不足を招いているように思えてなりません。一番に優先すべき対策は「人材定着策」です。次に、「採用」そして「育成」ということになります。
介護職の離職要因
それでは介護職の離職要因を見ていきます。そこには社会的な要因と事業単位の要因の2種類があります。
社会的な離職要因
- 介護福祉士養成校等の生徒が激減している
- 介護業界のネガティブなイメージが先行している
- 仕事の割に給料が安い 等
事業所ごとの離職要因
- 理念や運営方針があやふや
- 職場の人間関係の悪さ
- 労務管理が不適切
- 業務改善が行われず心身ともに疲労が激しい
- 上司の力量が不足しており、パワハラ等のモラルハラスメントがある。 等
社会的な環境要因については方策に手立てが見つかりませんが、ただ嘆いているだけでは何の解決にもなりません。まずわれわれができることは、事業所単位での離職要因の解消に全力を挙げるべきです。人材確保対策を一挙に解決することは難しいですが、労務管理やルールの整備など、出来ることから確実に行うことで確実に効果は生まれます。
介護業界に特化した社会保険労務士だからできる事
介護現場での「働きやすさ」「働きがい」に関して、最近、幹部の方からよく御相談をお受けします。例えば・・・
- 「介護職員処遇改善加算のキャリアパス要件をどのように整備すればいいか」
- 「職員確保のために、時短勤務を始めたいが、勤務シフトの中でどう運用していけばいいか」
- 「働き方改革の対応として、パートさんやヘルパーさんの有休管理はどのようにするか」
・・・・などなど
このようなご質問には、労基法を中心とした労働法の知識のみならず、介護保険法の法律知識を駆使して、更には介護現場の勤務実態なども踏まえたうえで、できるだけ現場に即したアドバイスをわかりやすく、ご提供させて頂く必要があります。このニーズに対応できるのが社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティングの「社労士顧問」「人事顧問」サービスとなります。
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