介護の人材紹介、半年以内に離職なら手数料を返戻 厚労省 認定制度の基準に 来年度から
厚生労働省は10日、介護保険制度の課題などを話し合う審議会(社会保障審議会・介護保険部会)の会合で、人材紹介会社に適正な運営を促すための当面の対策を明らかにした。
優良な人材紹介会社として認定する既存の制度(適正事業者認定制度)について、認定基準を厳格化すると説明。介護施設・事業所に紹介した人材が6ヵ月以内に離職したら手数料を返戻すること、を新たに加える方針を明示した。これからディテールを詰めて今年度中に見直しの全容を固め、来年度からの適用を目指す。
この制度で認定されているのは、医療、介護、保育の3分野で49社(今年3月時点)。全体のごく一部だが大手が多く、人材紹介実績のカバー率は約4割となっている。
現行の認定基準には、早期離職となった場合に手数料を返戻する仕組みを設けることが含まれているものの、「早期離職」の定義は特に記載されていない。このため、人材紹介会社によって運用はまちまち。介護事業者からは、「手数料を返してもらえない」といった不満の声があがっている。
厚労省はこのほか、手数料の平均値・分布や離職率などを地域ごと、職種ごとに公表していく考えも表明。いわゆる「就職お祝い金」の禁止など、今の規制を徹底させる集中的な指導・監督を今年度中に実施する方針も示した。
厚労省の担当者は審議会で、「踏み込んだ対策が必要ではないか、という意見も踏まえてしっかりと具体化を検討していく」と述べた。
介護の人材紹介会社をめぐっては、政府の「規制改革推進会議」などがこうした対策を講じるよう厚労省に要請していた経緯がある。手数料が介護事業者の経営を圧迫し、賃上げや生産性向上に必要な投資をより困難にしている問題があるためで、介護職の人材確保、労働環境の改善などにつなげる狙いがある。(介護ニュースより)