迫りくる通所介護の環境変化 来年度の改正で厳しく問われる事業者のマネジメント力【小濱道博氏】

 

◆ カギは自立支援・重度化防止の成果


今年5月に成立した改正介護保険法では、看多機の役割の1つとして「機能訓練」が明記された。今後、こうした多機能型サービスも機能訓練の場としての役割が強化されていくことになる。リハビリ特化型の多機能型サービスも、今後の差別化の中で登場してくると想定される。


その時、機能訓練を提供しない預かり中心のデイサービスは、更なる苦戦を強いられることになる。すでに、コロナ禍の影響で利用者のニーズやケアマネジャーの価値観は大きく変化しており、機能訓練を提供しないデイサービスが選ばれなくなってきている。


来年度に創設される予定の新しい複合型サービスが、大方の予想通り、デイサービスと訪問介護、もしくは、デイサービスと訪問介護、訪問看護の組み合わせとなった場合、これもデイサービスとの競合関係になることは避けられない。その場合、競争力で勝るのは機能訓練で成果を出す事業所となるだろう。


同時に、LIFEを活用できることも重要となる。LIFEは6月30日から、利用者別フィードバックの提供が始まっている。今はどの事業者もスタートラインで横一線にあるが、今後は確実に事業者間格差が開いていくはずだ。

また、政府が今年の年末までに結論を出すとした、利用者負担2割の対象者の拡大(全体の20%から30%へ)が確定した場合、確実に利用控えが生じて“使われなくなる事業所”が出てくる。そうならないためには、利用者負担が倍額となっても使いたいサービス、使わなければならないサービスであることが求められる。


いずれにしても、来年度の制度改正・報酬改定は、預かり中心の昔ながらのデイサービスにとって大きな逆風となる可能性が高い。今のうちから機能訓練の取り組みを始めないと手遅れになる。そしてLIFEの活用は必須だ。


もっとも、機能訓練の取り組みとはパワリハの導入だけではない。機能訓練には、椅子やボールなど身近な備品を使ってできるプログラムが多数ある。重要なのは、利用者の身体能力を分析して目標を立てるアセスメント課程で、ひとりひとりの状態をしっかりと把握し、利用者に寄り添った機能訓練を提供できるかどうかである。


デイサービスの事業所数は飽和状態にある。2016年から今に至るまでの8年間、事業所数はおよそ4万3000ヵ所でほとんど変わっていない。毎年、相当数のデイサービスが新規開業する裏で、同数の事業所が廃業していることは前回も触れた


その事業所数が、小多機などのケアマネジメントの居宅介護支援への移行や、新たな複合型サービスの創設によって減少に転じる可能性がある。来年度の制度改正・報酬改定がひたひたと近づくなか、デイサービスの経営者にはマネジメント力が問われている。(介護ニュースより)

介護業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

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