【介護報酬改定】虐待防止の新減算、発覚翌月から改善まで適用 指針整備など必須に 小規模事業所も含む全サービス
厚生労働省は新年度の介護報酬改定で、高齢者への虐待を防止する措置をとっていない事業所・施設に対する基本報酬の減算を新たに導入する。その適用の具体的な考え方などを、今月に入って公表した改定の解釈通知やQ&Aで明らかにした。
要件を満たしていないことが発覚した月の翌月から、入居者全員について減算を適用すると説明。減算の解消には改善計画の提出・実施が必要なこと、いわゆる“1人ケアマネ”を含む小規模な事業所も対象に含まれること、なども明示した。
新たな「高齢者虐待防止措置未実施減算」は所定単位数の1%。対象は居宅療養管理指導、福祉用具販売を除く全てのサービスで、福祉用具貸与に限り3年間の経過措置が設けられる。
要件は以下の通り。2021年度の改定で全てのサービスに義務付けられた(*)虐待防止の措置を怠っていると適用される。
* 義務化は3年間の経過措置を経て新年度から完全適用される。
算定要件|虐待の発生、再発の防止に向けた以下の措置が講じられていない場合に減算を適用する
◯ 対策を検討する委員会(オンライン可)を定期的に開催するとともに、その結果を職員に周知徹底すること
◯ 虐待防止の指針を整備すること
◯ 職員に対し、虐待防止の研修を定期的に実施すること
◯ これらの措置を適切に実施する担当者を置くこと
厚労省は改定の解釈通知で、既存の加算の規定も参考に適用の考え方を次のように定めた。
「要件を満たしていない事実が生じた場合、速やかに改善計画を自治体に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間、利用者全員について所定単位数から減算する」
改定のQ&Aには、「実際に高齢者虐待が発生していない場合でも、要件の措置の1つでも講じられていなければ減算になる」と明記。「改善計画の提出の有無に関わらず、事実が生じた月の翌月から減算する。減算は改善計画が提出され、事実が生じた月から3ヵ月以降に、計画に基づく改善が認められた月まで継続する」と説明した。
また、「過去に遡及して減算を適用することはできない」との解釈も示した。
このほか、事業所・施設の規模の大小にかかわらず委員会や研修を定期的に開催するよう要請。複数事業所による合同開催、関係機関の協力を得た開催などが考えられるとし、実施・内容の記録を残しておくことも求めた。
※ 上記Q&Aの解釈は問167から170
(介護ニュースより)