医療広告違反、行政処分は覚知から 1 年以内に 厚労省・分科会
虚偽や誇大など医療広告の違反を巡り、厚生労働省は 22 日、長期にわたって改善が見られな
いケースへの自治体による対応の標準的な期限の案を関連の分科会に示した。行政指導は違反
の覚知から 2-3 カ月以内、中止・是正命令は 6 カ月以内、管理者変更の命令や許可の取り消し
などの行政処分は 1 年以内をそれぞれ目安とするよう自治体に促す。
この日提示した「医療広告ガイドラインに基づく標準的な期限も含めた指導・措置等の実施
手順書のひな型」の案に対応期限の目安を盛り込んだ。
このひな型案は分科会で了承されたことから、厚労省は 9 月末までに手順書のひな型を自治
体に提供する予定。
ひな型は、医療広告の違反の長期未改善事例の発生を抑止して早期の適正化を図るのが目的。
厚労省ではそれを参考にして違反への対応を自治体に行ってもらいたい考えだ。
ひな型案では、 違反の医療広告を▽虚偽広告など直接罰が適用される広告▽それ以外の誇大
広告など禁止される広告▽品位を損ねる内容の広告など「その他」-の 3 つに分類。その上で、
標準的な期限も含む指導や措置の段階を分類別に明示している。
具体的には、虚偽・比較優良・誇大などの広告違反に関して、行政指導による改善は違反の
覚知から 2-3 カ月以内をめどに対応を完了させる。
また、広告違反を行った事業者から弁明がなかったり、弁明を受けても必要と判断できたり
する場合、自治体の担当者らは、違反の覚知から 6 カ月以内をめどに違反広告を行った事業者
に対して広告の中止や是正命令を実施する。
さらに、行政からの継続的な働き掛けにもかかわらず内容が是正されず違反状態が続く場合、
違反の覚知から 1 年以内を目安に管理者の変更の命令や許可の取り消しなどの行政処分を完了
させることが望ましいとしている
●医療広告違反、1,098 サイトで計 6,328 件 23 年度に
厚労省は、2023 年度に少なくとも 1,098 サイト(前年度比 43%増)が医療広告規制に違反し
ていたため、運営する医療機関に自主的な見直しを促す通知を行ったと有識者の分科会に報告
した。1,098 サイトの中で見つかった違反は計 6,328 件あり、1 サイト当たり平均で約 5.8 件だ
った。
違反が確認された 1,098 サイトの分野ごとの内訳は、歯科が 374 サイト(1,959 件)と最も多
く、美容 362 サイト(2,888 件)、「その他」294 サイト(1,135 件)などが続いた。違反の件数
をキーワード別に集計すると、 歯科では「審美」(1,959 件の約 33%)が最も多く、「インプラ
ント」(約 25%)と合わせて全体の約 6 割を占めた。美容で最も多かったキーワードは「美容注
射」(2,888 件の約 21%)だった。次いで「顔整形」「GLP-1」(共に約 11%)、「発毛・AGA」「リ
フトアップ」「アンチエイジング」(いずれも約 9%)など。
違反の種類別では、「広告が可能とされていない事項の広告」の割合が歯科(1,959 件の 47%)
と美容(2,888 件の 57%)で共に最も多く、美容では、リスクや副作用の記載が不十分な自由
診療の広告が目立った。
通知による注意喚起では改善が見られず、自治体に違反の情報提供を行ったのは計 195 サイ
ト。自治体による指導後に改善や広告の中止が見られたのは 22 サイトで、自治体による指導を
継続中なのは 173 サイトだった。(メディカルウェーブより)