フランス人保育士が日本の保育園に「ありえない」を連発 “自由の国”の子育てとの違いとは
核家族化が進み、孤立しがちな現代の子育て。何が正しいのか分からず、思い悩んでいる人も多いでしょう。実は、育児に対する価値観は国によっても千差万別。日本の保育園の様子を見たフランス人の保育士が「ありえない」を連発したという投稿が、SNS上で話題を呼んでいます。投稿者で、国内外の保育事情に詳しい教育プロポーザー(提案家)の生田あゆみさんに話を聞きました。 ◇ ◇ ◇
「なぜ自由にさせないのか」 自由の国フランスの子育てに衝撃
「衝撃でした。フランスから来た保育士さんが日本の保育園を見学。『ありえない』を連発。視線の先にはハイハイの赤ちゃんと『こっちだよ』と手を叩く保育士さん。『自分で動けるようになったのに、なぜ自由にさせないのか』と園長に質問。自由の国フランスの子育てにビックリ。0歳でも子どもの意志を尊重するのね」 今月9日、生田さんはフランスと日本の子育ての違いについてSNS上で発信。投稿には「海外は思っている以上に子どもを尊重していますよね」「たしかにこっちだよー! って言いがちです」「初めて知りました! 文化は違えど取り入れてみたいですね!」といった共感の声や、「赤ちゃんの時に、脳に刺激を与えなければ脳が発達しないので、日本の方が子どもにとってはいいと思いますね」「ああいうのって別に『こちらに来い』と指示しているわけじゃなくて、赤ちゃんの『あそこに行ってみたい』という気持ちを育む・育てるための働きかけだと思うけどなぁ」といった疑問の声など、さまざまな反応が寄せられています。 高校の教員を18年務めた後、家庭教育や幼児教育の必要性を感じ、退職して保護者の子育て支援活動をしているという生田さん。自身も中学3年生と小学5年生の2人の男の子を育てており、国内外の保育視察や保育専門家の研修などで得た学びをセミナーや講義を通じ保護者に還元する活動をしています。 今回の投稿について「知り合いの保育士から聞いた話で、純粋な驚きから投稿しました。どちらの方がいい、悪いという話ではなく、国によって子どもとの関わり方も全然違って、お互いに発見が新鮮だったということを伝えたかった」と生田さん。反響には賛否両論が寄せられたといい「子どもの主体性に委ねるというのは放任するということではなく、また好き勝手にさせることが主体性というものでもありません。親子の関わりが深いことは愛着形成につながるなどいい面もたくさんありますし、一概に同じ土俵で論じるものでもないと思っています」と見解を口にします。 現在社会ではネットを中止に、子持ち親と独身者、専業主婦とワーママ、男児親と女児親など、属性による分断や偏見による応酬が盛んに繰り返される状況が続いています。生田さんは、一連の状況への危惧を口にします。 「分断されたギスギスした空気は、子どもにとっても本当に良くないもの。分断が繰り返される社会で子どもたちが本当に健全に育つのか、大人の側が冷静に立ち止まって考えないといけません。ネットという狭くて深い情報の世界では、他者への共感が育ちづらいもの。いろんな視点を取り入れ、異なる価値観でも認め合うことが大事なのではないでしょうか」 今回の投稿が、さまざまな多様な価値観を認め合うきっかけになればと話しています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム記事より)