美容医療、麻酔・全身管理の研修「なし」6割超 厚労省・検討会
厚生労働省は、美容外科や皮膚科を標榜するなどの417医療機関の 6割超で麻酔下施術を行
う医師への麻酔・全身管理に関する研修の制度がないとする調査結果を公表した。施術の技術
に関する研修がなかった医療機関は2割超あった。
調査は、厚労省から委託された民間の研究所が実施。医療機関向けの調査では、8月20-9月
17 日に美容外科や皮膚科を標榜する医療機関や、関係学会の会員医師の医療機関の 417施設か
ら回答を得た。それによると、院内での研修制度やルール、連携先医療機関の有無について聞
いたところ(複数回答)、60.2%の医療機関で、麻酔下施術を行う医師への麻酔・全身管理の研
修制度がないと答えた。
また、47.7%が施術後翌日の患者診察のルールがなかったほか、37.2%が施術ごとに実施可
能な医師の限定要件がないと回答した。施術の技術に関する研修制度がない医療機関は 23.5%
あった。
施術の技術に関する研修制度がないと回答した 98 医療機関に理由を聞いたところ(同)、最
も多かったのは「研修の必要性を感じないから」(18.4%)だった。ほかには、「経営者の判断
によるから」(12.2%)や「研修の準備・実施に時間や費用がかかるから」「研修のやり方が分
からないから」(共に6.1%)など。
従事する医師について、治療を行う上での経験年数や実績、医療機関内での研修、専門医な
どの要件を設けていない医療機関は54.4%あった。
また、カルテの記載に関するルールを定めた上で、それを周知しているのは約半数にとどま
り、ルール自体がない医療機関は約2割あった。
一方、8 月24-26 日に実施した別の調査では、美容医療に関して何らかのトラブルを経験し
た患者 600 人が回答した。美容医療に関して診察をどの職種から受けたことがあるか聞いたと
ころ(複数回答)、医師からが 64.8%、看護師からは 26.5%だった。一方、カウンセラーから
が 20.5%、受け付けスタッフからは 8.7%いた。また、カウンセラーや受け付けスタッフから
施術を受けたことがある患者も、それぞれ13.8%、6.3%いた。
美容医療を受けたことで、合併症や後遺症に陥った患者は約 4 割いた。合併症の症状では、
熱傷が最も多く、重度の形態異常や皮膚壊死・皮膚潰瘍などが続いた。中には骨折や輸血が必
要なほどの出血を経験した人もいた。
調査結果は、厚労省が 18 日の「美容医療の適切な実施に関する検討会」で明らかにした。
脱毛や眼瞼形成などの美容医療を巡っては、ニーズの高まりに伴って提供する医師や医療機関
の数が増加しており、利用者による相談件数や危害事例も増加している。そのため、厚労省は
美容医療を提供する病院や診療所に安全管理の実施状況を年 1 回、都道府県に報告することを
求める案を18日の同検討会に示した。(メディカルウェーブ記事より)