医療機関機能4プラス1案示す、検討継続 厚労省・検討会
厚生労働省は8日、病院などに新たに報告を求める医療機関機能の名称として、「高齢者救急
等機能」など地域ごとの4つと、広域な観点が求められる診療や医師の卒前・卒後教育をカバー
する医療機関の「医育および広域診療機能」を省内の検討会に提案した。ただ、高齢者救急等
機能などには名称の分かりにくさを指摘する意見があり、 引き続き検討する。
厚労省が「新たな地域医療構想等に関する検討会」に示した地域ごとの医療機関機能の名称
の案は、高齢者救急等機能と、▽在宅医療連携機能▽急性期拠点機能▽専門等機能-で、1 つ
の医療機関が複数の機能を報告することもあり得るとしている。また、広域な観点で整備する
医育および広域診療機能は、大学病院本院がカバーすることを想定している。
厚労省がこの日示した機能ごとのイメージによると、高齢者救急等機能の医療機関は、高齢
者らの救急搬送を受け入れ、専門病院や施設と必要に応じて協力・連携しながら入院早期から
のリハビリや退院調整を行う。これに対し、急性期拠点機能では、手術や救急など医療資源を
多く要する症例を集約化した医療提供を行う。
厚労省はこの日、救急医療に関して、▽2003年以降の救急搬送は高齢者(65歳以上)の割合
が上昇しているが、23 年には救急搬送の 30%程度を 18-64 歳が占めたことや▽全国に 3,194
ある二次救急医療機関の半数以上では、救急車の受け入れが23年度に500件未満だったこと
などを指摘した。
その上で、高齢者救急等機能と急性期拠点機能の役割分担は、必要に応じて連携・再編・集約
を進めながら地域ごとに検討する必要があるという認識を示した。
厚労省は、高齢者救急等機能や急性期拠点機能をカバーする医療機関の基準を設定する方針。
医療機関の役割分担に関する協議の進め方は、都道府県向けに作る新たな地域医療構想の策
定ガイドラインに盛り込む。ガイドラインの内容は25年に行う予定の法改正を踏まえ、改めて
検討を始める。
厚労省の担当者は8日の検討会で、「できれば来年度(25年度)中にガイドラインをお示しし
て、都道府県で議論できるようにしたい」と説明した。
この日の意見交換では、猪口雄二構成員(全日本病院協会会長)が「高齢者救急等の機能と
書かれると、高齢者の専門病院のようなイメージになる」と指摘するなど、厚労省案の分かり
にくさを訴える意見が相次いだ。そのため、検討会で引き続き議論する。
この日参考人として出席した健康保険組合連合会の松本真人理事は、急性期拠点機能につい
て「症例数が(医療の)アウトカムに影響するというエビデンスがある」と述べ、定量的な基
準を設定するよう求めた。(メディカルウェーブ記事より)