政府、訪問介護の支援へ補助金を新設 人材確保など後押し 野党からは報酬増を求める声

人手不足などで経営環境が厳しさを増している訪問介護をめぐり、政府は事業所への支援を柱とする補助金を新設する方針だ。11月29日に閣議決定した今年度の補正予算案に、そのための財源として97億円を計上した。

一方、国会では野党から基本報酬の引き上げなどを求める声が出ている。


政府の新たな補助金は、訪問介護のホームヘルパーの確保、事業所の経営改善を後押しすることが目的。例えば研修体制づくり、1人で利用者宅へ行くことが不安な新人ヘルパーの同行支援、多様な人材の採用活動、常勤化の促進、経営の協働化などに要する費用を、申請を行った事業所に支給する。


また政府は、都道府県が主体となって業界団体、労働局、福祉人材センターらと連携協議会を設け、地域ぐるみの求職イベントなどを開催する取り組みにも補助を出す。ハローワークや事業所とも協力して訪問介護の説明、魅力発信、職場見学などの機会を用意し、地域の実情に合ったヘルパーの確保につなげてもらう狙いがある。

厚生労働省はもともと、こうした支援事業を都道府県ごとの基金を通じて来年度から実施できるようにする意向を示していた。


その計画を今回の補正予算案で変更。当初の予定より前倒しで実施するほか、基金の枠組みではない補助金で具体化することに決めた。補正予算が政府案通りに成立すれば、事業者らにできるだけ早く詳細を明らかにする構えをみせている。


◆「現場が全く見えていない」


衆議院本会議の2日の代表質問では、野党から政府案への異論が噴出した。


国民民主党の浅野哲議員は、今年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げた政府の判断について、「現場の実態が全く見えていない」と強く批判。「次の改定を待たずに訪問介護の基本報酬を早急に見直すべき」と訴えた。


また、立憲民主党の石川香織議員は、「訪問介護事業所に支援金を支給すべき」と施策の強化を要請した。

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