診療所のマイナ保険証利用率「10%未満」が7割
日本医師会総合政策研究機構が 2 日に公表した調査報告書によると、日医会員の診療所の管
理者 3,747 人のうち、マイナ保険証のレセプト件数ベースの利用率が「10%未満」だったとい
う割合は7割に上った。日医総研では、医療DX推進体制整備加算の施設基準となるマイナ保険
証の利用率が2025年1月以降に10%以上に引き上げられるものの、これを満たす診療所は「極
めて少ない状況にある」と懸念を示している。
調査は、日医会員の診療所の管理者1万人を対象に 9月20日-10月4日にウェブ形式で実
施。マイナ保険証や電子処方箋の利用状況と課題などを把握するのが目的で、4,454人が回答し
た(有効回答率44.5%)。
レセプト件数ベースのマイナ保険証の利用率に回答した 3,747 人のうち、利用率が「10%未
満」が70.8%と大半を占めた。次いで「10-20%未満」が19.3%で、20%以上の回答を全て合
わせても9.8%と、1割にとどまった。
医療DX推進体制整備加算を算定している割合は全体(4,454人)の50.0%と半数を占めたも
のの、25年1月以降はマイナ保険証の利用率の基準が10%以上に引き上げられる。日医総研で
は、同加算を算定できなくなる診療所が生じる可能性があることから、利用率の施設基準につ
いて「検討が必要」だとしている。
●電子処方箋導入後も半数近くが「メリットを感じられない」
電子カルテの使用率については、全体の 62.6%と過半数を占めた。一方、電子処方箋の導入
率は未運用も含めて14.5%にとどまった。「導入予定」としたのは31.6%。「決めていない・今
後検討」は27.3%で、「導入予定なし」(26.4%)と合わせると過半数に達した。
電子処方箋の導入を「決めていない・今後検討」か「導入予定なし」と回答した人に理由を
複数回答で聞いたところ、「ICT 人材の不在」が最も多く 59.6%だった。次いで、「メリットを
感じない」(52.5%)、「システムの改修や導入の費用負担が大きい」(41.7%)など。
一方、電子処方箋の運用を開始していると回答した人に導入後の感想を複数回答で聞いたと
ころ、「メリットを感じられない」が 46.9%と最多だった。ほかにも、「電子処方箋を導入して
いる薬局が少ない」(36.7%)、「処方を行う際の医師の作業が増えた」(36.2%)なども目立っ
た。
日医総研では、「医療 DX の基盤となる電子処方箋などの導入の意義が十分に伝わっていない
状況が明らかになった」とし、災害時の情報共有が可能になるなどのメリットを丁寧に示すべ
きだと指摘。効率的かつ効果的な情報提供の仕組みの検討が必要だとしている。(メディカルウェーブ記事抜粋)