介護事業所様向け情報(労務)10月号①
[2019年4月より新しい様式となる36協定届]
働き方改革では長時間労働の是正が大きなテーマとなっていますが、
中でも36協定の重要性が高まっています。
今回の法改正を受け、2019年4月より「時間外労働・休日労働に関する協定届」
(以下、36協定)の様式が変更となります。
ここではその変更点について確認しておきましょう。
1.変わる36協定の様式
36協定の新様式を確認すると、これまでの様式から大きく変更されたようには見えませんが、
労働保険番号と法人番号の記載が求められ、36協定で定める時間数にかかわらず、
「時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、
かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。」というチェックボックスが
設けられました。
また、特別条項を設ける場合と設けない場合の2つの様式が用意されており、
特別条項を設ける場合の様式は、限度時間までの時間を協定する1枚目と特別条項を定める
2枚目の2枚組となっています。
また、特別条項を設ける場合の様式には、これまで特別条項で定める必要があった項目が
整理され、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」
を定める欄が設けられました。
2.新たに定めることになる健康確保措置
特別条項に追加された「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び
福祉を確保するための措置」には、限度時間を超えて労働する労働者に対する健康確保措置を
記載することになりますが、その内容は次の10項目の中から選択し、番号と具体的内容を
書くことになります。
①労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
②労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を
1箇月について一定回数以内とすること。
③労働時間を延長して労働させる者について終業から始業までに一定時間以上の継続した
休息時間を確保すること。
④労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
⑤労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
⑥年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を
促進すること。
⑦心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
⑧労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に
配置転換をすること。
⑨必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による
保健指導を受けさせること。
⑩その他
特別条項を適用することが想定される労働者にとって、一番望ましい健康確保措置を
考えるとともに、来年に向けて対象者が出た場合の取組みについて、
いまから検討するようにしましょう。
36協定は時間外労働や休日労働を行う際のもっとも基本的な手続きであり、
時間外労働等が発生する前に労働基準監督署へ届出をしなければ労働基準法違反と
なるものです。締結はまだ先になりますが、いまから新様式の内容を確認しておきましょう。
(次号に続く)