介護事業者様向け情報(労務)12月号①

2019年4月より電子メール等による労働条件の明示が可能に

雇用契約を締結する際、会社は労働基準法の定めに従い、従業員に対して労働条件を明示する
必要があります。明示する労働条件の一部については、書面で行うことが義務付けられて
いますが、労働基準法施行規則が改正され、2019年4月から書面以外で明示する方法が
認められることになりました。

1.書面での明示が必要な労働条件

労働基準法で定められている労働条件の明示事項は全部で14項目あります。そのうち、
以下の①~⑥(⑤のうち、昇給に関する事項を除く)については、従業員への書面の
交付による明示が義務付けられています。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
 並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
⑤賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの
 方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

2.電子メール等を用いた明示

今回、1.に掲げた項目について、従業員が希望した場合にはファクシミリの送信や
電子メールなど、書面以外により明示することが認められることになりました。
ただし、電子メール等で明示するときには、従業員自身が電子メール等の記録を
出力することにより書面を作成することができるものに限るとされているため、
この条件を満たしているかを確認しておく必要があります。

3.パートタイマーに必要な明示事項

パートタイマーやアルバイトなどのパートタイム労働者については、1.に掲げた
項目に加え、パートタイム労働法により「昇給の有無」、「退職手当の有無」、
「賞与の有無」、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の
4つの項目について、文書の交付等による明示が義務付けられています。
上記4つの項目については既にファクシミリの送信、電子メールの送信が
認められています。ただし、電子メール等で明示するときには、2.と同様に
従業員自身が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することが
できることが条件となっています。

特に有期契約のパートタイム労働者が多い企業では、労働条件通知書を書面で作成し、
交付することに多くの時間を割いているかと思います。また、労働条件の明示が適切に
行われていなかったことでトラブルが発生することもあります。電子メール等での交付も
含め、これを機会に労働条件の明示の徹底を進めておきたいものです。

(次号に続く)

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