介護事業者様向け情報(経営)2月号②
2018 年の福祉施設等における賃金引き上げ割合
他の産業と同様に、福祉介護業界においても人材不足が問題となっています。
そのため福祉施設等においても、人材採用や定着のために賃金の引き上げ等が行われています。
ここでは、2018年11 月に発表された調査結果※から、2018 年の福祉施設等における賃金の
引き上げ状況をみていきます。
賃金引き上げ割合は93.0%に
上記調査結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の1 ヶ月当たりの1 人平均賃金額(以下、
平均賃金)を引き上げた・引き上げる企業(以下、引き上げ企業)の割合は表1 のとおりです。
2018 年の引き上げ企業の割合は93.0%となりました。2017 年より1.3 ポイントの減少ですが、
回答企業全体(以下、全体)の割合よりも、医療,福祉の方が引き上げ企業の割合が高く
なっています。
なお、医療,福祉で2018 年に賃金引き下げを実施した企業はなく、賃金改定を実施しない
割合は、4.3%(全体は5.9%)となっています。
改定額は3,000 円台に
次に、医療,福祉の平均賃金の改定額をまとめると、表2 のとおりです。
2018 年の改定額は3,632 円で、2017 年よりも901 円の減少となりました。2018 年の全体の
改定額は5,675 円で、医療,福祉よりも2,000円程度高くなっていることがわかります。
改定率は 2%を割り込む
最後に表3 の平均賃金の改定率をみると、医療,福祉の 2018 年は1.7%で、2017 年の
2.1%から0.4 ポイント減少しました。
なお、全体の改定率は2017、18 年とも2.0%となっています。
この結果をみる限り、医療,福祉は、全体よりも平均賃金引き上げ企業の割合は高いものの、
改定額と改定率が低くなっています。ここでの結果は比較的規模の大きな企業のものですが、
新年度に向けて賃金の改定を検討している福祉施設等では、これらをひとつの目安にしても
よいかもしれません。
※厚生労働省「平成30 年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
会社組織の民営企業を対象に、産業別及び企業規模別に3,543 社を抽出して2018 年8 月に
実施した調査です。有効回答企業数は1,779社、有効回答率は50.2%です。
なお、ここでの結果は常用労働者100 人以上の企業(調査客体企業数は3,212 社、有効回答
企業数は1,578社)について集計したものです。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/index.html
(次号に続く)