介護事業所様向け情報(労務)12月号②
任意継続被保険者の保険証の発行が早くなります
このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とそ顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:今月末に退職する従業員から、健康保険(協会けんぽ)の任意継続制度(以下、「任意継続」という)を利用したいという申出がありました。任意継続を利用すると退職前と同様に、保険料を会社が負担することになるのでしょうか。
社労士 :健康保険の任意継続とは、会社に勤務していたときに加入していた健康保険に、資格喪失後も引き続き加入する制度のことです。資格喪失後、最長2年間加入できますが、健康保険料は会社負担分も含め、従業員本人が負担することになり、会社に負担がかかることはありません。
総務部長:承知しました。ちなみに手続きは会社がするのでしょうか。
社労士 :会社が従業員に代わって手続きをすることもありますが、任意継続は要件を満たした従業員が任意に加入する制度であり、資格取得申出書に会社が証明する欄もなく、従業員自身で手続きを行うものです。原則として資格喪失日から20日以内に申出書を提出する必要があり、資格喪失日以降に提出しなければなりません。
総務部長:期限を厳守した提出が求められるのですね。
社労士 :そうです。任意継続では、新しい保険証が発行されますが、発行は原則として資格喪失後に会社が資格喪失届を提出し、処理がされた後となっています。
総務部長:なるほど、一旦、これまで使っていた保険証を退職時に回収して早めに手続きする必要がありますね。
社労士 :はい。ただし、資格喪失の手続きに時間がかかるケースもあることから、協会けんぽでは2019年10月より、任意継続の資格取得申出時に退職日の確認ができる書類を添付することで、会社からの資格喪失の手続きを待たずに、任意継続の保険証の作成ができるようになりました。
総務部長:これは便利ですね。
社労士 :添付書類には退職証明書の写しや雇用保険の離職票の写し等が挙げられています。もし、これらに基づいて判断できる資格喪失日と、会社の資格喪失の手続きによる資格喪失日に相違があった場合、任意継続の資格取得日等が変更となるため、保険証の差替えが必要となります。
総務部長:任意継続の手続きは従業員が行うものとのことでしたが、退職者にはこれらのアドバイスはしたほうがよさそうですね。ありがとうございました。
【ワンポイントアドバイス】
1. 任意継続の手続きは資格喪失日以降20日以内に行う必要がある。
2. 申出書に必要書類を添付することで任意継続の保険証発行手続きが早くなる。
3. 任意継続を希望する従業員には仕組みや手続きの方法を伝えておくことが望ましい。
(次号に続く)
社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人