介護事業所様向け情報(経営)2月号②

福祉施設の賃金改定状況

雇用の維持や人材確保のために、賃金引き上げを実施する企業は少なくありません。ここでは、2019 年11 月に発表された資料※から、福祉施設等の賃金改定状況に関する情報をみていきます。

賃金引き上げ実施割合は低下

上記調査結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の賃金改定状況をまとめると、下表のとおりです。

医療,福祉で 2019 年に賃金の引き上げを実施した又は実施する(以下、引き上げた)割合は86.5%で、2018 年より6.5 ポイント減少しました。賃金の引き下げを実施した又は実施する(以下、引き下げた)企業はないものの、賃金改定を実施しない、未定とする割合が2018 年よりも高くなってます。回答企業全体では、引き上げた割合は90.2%で2018 年より0.5 ポイント増加しています。

1 人平均賃金の改定額と改定率

次に、上記結果と過去の結果から、医療,福祉の1 人平均賃金の改定額と改定率の推移をまとめると、下グラフのとおりです。

直近10 年で最も高かったのは2017 年の4,533 円です。他の年は3,000 円台で推移しています。ただし2015 年以降は3,600 円を超えて、それ以前より高い水準になっています。改定率は2017 年に2.1%となった以外は、おおむね1%台後半で推移しています。

なお、回答企業全体では、2019 年の1 人平均賃金改定額は5,000 円台で、改定率が2.0%と医療,福祉より高い状態が続いています。

2020 年に賃上げを実施する割合はどの程度になるでしょうか。

※厚生労働省「令和元年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
日本標準産業分類による15 大産業に属する会社組織の民営企業を調査対象とし、そのうち産業、企業規模別に抽出した約3,500 社を調査客体として2019 年8 月に行われた調査です。ここで紹介したデータは、常用労働者100 人以上の企業(調査客体企業数は3,224 社、有効回答企業数は1,647 社)について集計したものです。数値は四捨五入の関係で100 にならないことがあります。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/19/index.html

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

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