保育事業所様向け情報(労務)4月号②
パートタイマー等に求められる正社員への転換推進措置
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:
先日、同業の社長から労働局の調査で、パートタイマーから正社員への転換推進措置に関して指導を受けたという話を聞きました。当社は、対応ができていますか?
社労士:
正社員への転換推進措置としては、次のいずれかの措置を講じることになっています。
- 通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者等に周知する
- 通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者等にも応募する機会を与える
- パートタイム労働者等が通常の労働者へ転換するための試験制度を設ける
- その他通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずる
御社では、1.のしくみが導入されており、そのことがパートタイム就業規則に記載されています。
総務部長:
そうでした。正社員を募集する際に、求人票を社内の掲示板に貼り出し、パートタイマーにもお知らせしています。すべてのパートタイマーを対象に周知することが必要でしたね。
社労士:
そのとおりです。正社員に転換するところまでは求められていませんが、正社員になるチャンスを与えることが必要です。
総務部長:
実はまったく応募がなく、正社員に転換した実績がない状況ですが、問題ないのでしょうか?
社労士:
長期間にわたって正社員に転換された実績がない場合、転換推進措置を講じたとは言えないと指摘される可能性があります。周知のみでは応募しにくい環境になっているなど、措置が形骸化していないか検証することが求められています。また、2020年4月以降は、「パートタイム労働法」が、「パートタイム・有期雇用労働法」に変更となるため、パートタイマーの他に、有期雇用労働者もこの転換推進措置の対象とする必要があります。
総務部長:
つまり、フルタイムの有期契約社員も対象になるということですね。
社労士:
そのとおりです。フルタイムの有期契約社員に対する就業規則が、パートタイマーと別にある場合には、その就業規則にも正社員への転換推進措置を講じているかを確認してください。
総務部長:
わかりました。さっそく就業規則を確認してみます。
【ワンポイントアドバイス】
- 2020年4月より、パートタイマーだけでなく有期雇用労働者についても、正社員への転換推進措置の対象となり、措置を講じなければならない。
- 長期間にわたって、正社員に転換された実績がない場合、措置が形骸化していないか検証することが求められる。