介護事業所様向け情報(労務)4月号④
支援が強化される就職氷河期世代の雇用
現在、30代半ばから40代半ばとなっている、いわゆる就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っており、希望する就職ができず、不本意ながら不安定な仕事に就いている人や、職に就いていない人が他の世代よりも多いと捉えられています。そこで、就職氷河期世代を支援する取り組みが政府主導で行われています。
1.求人募集・採用時の年齢制限
従業員の募集および採用については、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされており、年齢制限を設けることが原則として禁止されています。
今回、一定の条件を満たした場合、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)に限り、年齢制限を設けて募集や採用することができるようになりました。
これは、不安定な就労をしている人や仕事をしていない人を対象に、雇用期間を定めない労働契約を締結することを目的としており、職業に就いた経験があることを求人の条件にしない場合に限られます。
また、ハローワークに求人を出すことも条件となっており、ハローワークに求人を出した場合には、ホームページでの直接募集や、求人広告、民間職業紹介事業者への求人の申込み等でも就職氷河期世代に限定した求人が可能となります。
2.助成金の改正
1と併せて、特定求職者雇用開発助成金が改正され、「安定雇用実現コース」が「就職氷河期世代安定雇用実現コース」となりました。
雇入れ日において以下の①~④のいずれにも当てはまる人を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(以下、「ハローワーク等」という)の紹介で正社員として新たに雇用する事業主に対し支給されるものであり、中小企業であれば、採用1人につき、総額60万円が支給されます。
- 雇入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満
- 雇入れの日の前日から起算して過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない
- ハローワーク等の紹介の時点で失業しているまたは非正規雇用労働者でありかつ、ハローワーク等において、個別支援等の就労に向けた支援を受けている
- 正規雇用労働者として雇用されることを希望している
就職氷河期世代では、正社員の雇用に恵まれなかった人の他、結婚や妊娠、出産を機に退職をせざるをえなかった女性も多くいると想像されます。人材不足感が強い状況下で、正社員の経験はないといった背景はあるものの、この世代の雇用を積極的に考えているときには、年齢を限定した採用や、助成金の活用を考えてもよいでしょう。