医療事業所様向け情報(経営)5月号②

医療機関等における賃金改定額の推移

ここ数年、業種を問わず人材確保のために賃金の引上げを行う事業所が多い状態が続いています。ここでは今年2 月に発表された厚生労働省の調査結果※から、医療機関等における賃金改定額の推移をみていきます。

改定額の推移

上記調査結果から、直近10 年間の医療機関等(以下、医療,福祉)と調査産業計の1 人平均賃金改定額(以下、改定額)をまとめると、下グラフのとおりです。

医療,福祉の改定額は2011 年の3,028 円が最も低く、2017 年以外は3,000 円台で推移しています。10 年間の平均は3,554 円です。調査産業計に比べて改定額は低い状態が続いており、2013 年以降は1,000 円以上の開きがあります。

10 年間の改定率

1 人平均賃金改定率(以下、改定率)をまとめると右表のとおりです。医療,福祉では改定額と同様、2011 年の1.4%が最も低く、それ以外は1.5~2.1%の間で推移しています。10 年間の平均は1.7%です。調査産業計と比べると、2014 年以降は調査産業計の方が改定率の高い年が多い状況です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、社会経済状況が一気に悪化しています。ちなみにリーマンショック発生後の2009 年の医療,福祉の改定額は2,439 円でした。今後、同様な事態に陥る可能性が考えられます。

※厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」
一定の業種・規模から抽出した企業を対象に毎年8 月に実施される調査です。賃金改定を実施し又は予定していて額も決定している企業と賃金改定を実施しない企業を集計したもので、1 人平均賃金の改定額は1 ヶ月当たりの1 人平均賃金の改定額です。詳細は次のURL のページからご確認ください。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450098&tstat=000001009619&cycle=0&tclass1 =000001026399

(次号に続く)

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