医療事業所様向け情報(労務)7月号③
2020年5月25日に廃止されたマイナンバーの通知カード
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
社労士:
従業員を採用したとき等には、従業員やその家族の個人番号(マイナンバー)の確認が必要になりますが、実は5月25日にマイナンバーの通知カードが廃止されました。
総務部長:
えっ!?すでに通知カードが廃止されているのですか?
社労士:
はい。以前から行政手続きを原則、電子申請としていく動きがあります。この行政手続きの電子化には、マイナンバーカードの活用が不可欠であるものの、マイナンバーカードの普及率は16.4%(2020年5月1日現在)となっていることから、その普及のために、通知カードが廃止されました。
総務部長:
なるほど。確かにこれまでマイナンバーの確認でマイナンバーカードを提示してきた従業員はほとんどいませんでした。普及していないという想像はしていましたが、かなり低迷しているのですね。
社労士:
そうですね。一方、マイナンバーカードの活用は徐々に進んでおり、身分証明書になったり、コンビニで各種証明書を取ることができたり、また、スマートフォンやパソコンを使って、オンラインで確定申告や子育てに関する行政手続きができるようになっています。更に2021年3月からは、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになる予定です。
総務部長:
今回、通知カードが廃止されたということですが、今後、従業員に子どもが生まれたような場合には、どのようにマイナンバーが通知されるのでしょうか。また、すでに交付されている通知カードを引き続き使ってもよいのでしょうか。
社労士:
今後は通知カードの代わりに個人番号通知書が送付されます。これにはマイナンバー、氏名、生年月日、個人番号通知書の発行日等が記載されていますが、マイナンバーを証明する書類として利用はできません。なお、すでに交付されている通知カードを使うことは問題ありません。その際、通知カードに記載された氏名、住所等が記載されている事項と一致している場合にのみ使用できるということに注意が必要です。
総務部長:
5月25日以降に引越をし、住所が変更となった場合は、通知カードは使えないということですね。この場合、どのようにすればよいのでしょうか。
社労士:
マイナンバーカードを発行することが一番ですが、マイナンバーが記載された住民票の写しまたは住民票記載事項証明書を取得することも考えられます。
【ワンポイントアドバイス】
- 2020年5月25日にマイナンバーの通知カードが廃止された。
- 新たに付番される人には個人番号通知書が送付される。
- 通知カードに記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致しているときは、引き続き通知カードをマイナンバーを証明する書類として使用できる。
(次号に続く)