【介護・保育】人材定着ブログ12月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑱」
【介護・保育】人材定着ブログ10月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑰」
の続きです。
今月号も先月号に引き続き、人事制度(キャリアパス)の運用に関して
Q&A形式にてお伝えします。
Q7、処遇改善加算の給付は、全員一律、一定割合で一時金として支給しているが、職員のモチベーションにはつながっていない
A7 全員一律ではなく、評価結果の処遇反映に対する財源としたり、「採用」「定着」に貢献出来るような各種手当を工夫することで、モチベーションを高めている。
【処遇改善加算金の支給方法実例】
- 賞与・昇給の支給額決定に際し評価結果を反映させる財源として、処遇改善加算の一部を充当している。
- 住宅手当に活用。アパート暮らしの人は可処分所得が少ないので、処遇改善を財源に月額5万円に引き上げる(採用効果)。
- キャリア加算手当を新設。キャリアアップのモチベーションに活用。
- リーダー、管理者手当の増額。負担が増える管理者に報いるために活用。
- 「シングルマザー手当」の新設。シングルマザーの生活を支援する手当新設。
Q8 評価者であるリーダーや管理者が、評価や面談に不安感を感じ、職場での実践ができない。
A8評価者研修やフィードバック面談研修を受講し、方法論を学び実践で活用している。
人事評価を行うことは、上司にとってかなりの負担で、ましてやその結果を部下に説明するフィードバック面談等は大変重荷、などと言うご意見は、評価者の方々からよく伺います。ただ、それは、「評価」という言葉の印象にとらわれている結果であって、実際には評価の仕方を具体的に理解していないがゆえに誤解されているケースがとても多いのです。
評価者として「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解し、それを実践すれば、だれでも評価を行うことができます。
Q9キャリアパス・評価制度を作っても、総務担当が変わったことで、継続性がなくなってしまった
A9,「キャリアパス規定」もしくは「人事評価規定」として、社内規定として文書化したり、また全職員へのキャリアパスの「見える化」にも工夫をしている。
社内規定の一つとして「人事評価規定」を文書化されることをお勧めしています。「評価制度が、いつの間にか運用しなくなってしまった」などということが無いように、キャリアパスや人事評価の運用は、社内監査等の対象として定期的にその運用が適切になされているかどうかチェックされなければなりません。つまり法人のガバナンス機能として、運用を継続していくためにも、それが文書化されルールに従った運用がなされているかが確認されなくてはなりません。下記の文書化の事例(抜粋)をご紹介いたします。
- 規程趣旨
この規程は、法人職員に対するキャリアパスの実施を通じて職員の資質向上を図り、もって人事管理の適正化、組織の活性化、地域貢献に資することを目的とする。
2 キャリアパスの定義
この規程においてキャリアパスとは、法人が職員に対し職業人として必要な能力と処遇について具体的な内容を職能等級、職位、職層、求められる能力を示すことにより、職員が自らの目標を設定し努力するための道筋を示したものと定義する。
3 キャリアパスの意義
キャリアパスを整備する意義は、法人が人材育成を何よりも重要であると認識し、働く人の成長を願い目標を設定し努力を重ねることができる環境整備の一つとすることにある。運用にあたって、資格等級制度、人事評価制度、研修制度との連動を図ることによりキャリアパスを法人経営の重要なツールとして定着させる。これにより、職員が自らの将来像を描きながら日々の業務に邁進できる環境を実現させる。
4 主管部門・担当部門・監査部門
キャリアパスを実施するにあたり、以下の通り、主管部門・担当部門・監査部門を定める。
主管部門 法人本部に「法人本部キャリアパス運営委員会」を組織する。
担当部門 各事業所に、事業所責任者を中心とした「○○事業所キャリアパス運営委員会」を組織する。
監査部門 「キャリアパス制度運営監査委員会」を第三者委員会として組織する。委員会は、人事考課制度等に専門知識を有した者、被評価者代表、評価者代表、法人本部代表者などから構成する。
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また、キャリアパスの「見える化」ですが、本来の「見える化」とは「問題点の可視化」という意味ですが、ここでは「理解を深めるためのビジュアル表現」という意味で使用しています。つまり、キャリアパスをよりわかりやすく表現することで、求職者に対してアピールできるほか、在職している職員のモチベーションを高める効果もあります。さらに言うと、「退職したくなったが、少し我慢すれば次のステップに進めるので、もう少しだけ辛抱しよう」という、離職防止効果までを期待できます。
- キャリアパスの「見える化」の事例