医療事業所様向け情報(労務)12月号①

新型コロナによる雇用への影響と解雇・雇止めの違い

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大が雇用に影響を与えています。厚生労働省ではその影響をタイムリーに把握し、ホームページで情報を発信していますが、今回はその状況と勘違いしやすい解雇と雇止めの違いを確認します。

1.解雇等見込み労働者数

解雇等見込み労働者数は2020年11月6日時点の累計で70,242人となっています。5月以降、8月を除くと毎月1万人を超える人数で推移しており、10月は7,506人でした。

この累積数を上位10業種でみてみると下表のようになります。

この情報は都道府県労働局等で把握できた範囲のものであり、必ずしも網羅性のあるものではありません。また、過去に把握した情報の一部には既に再就職をした人も含まれている可能性があります。そのため実際の雇用環境はさらに悪化していることが考えられ、今後の新型コロナ感染拡大の状況によってはこの人数が増えることが懸念されます。

2.解雇・雇止めの違い

解雇等見込み労働者とは、解雇や雇止め等の予定がある労働者(一部すでに解雇や雇止めされたものも含む)を指しています。解雇と雇止めは混同されやすいですが、解雇や雇止めを行うときの手続きや、雇用保険の基本手当の扱いにおいて異なることもあり、区別して理解しておく必要があります。

①解雇
会社が一方的に労働契約を解消することをいいます。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利の濫用として無効となります(労働契約法16条)。また、有期労働契約は、やむを得ない事由がなければ契約期間中に解雇することができないとされており(同17条)、無期労働契約を締結している場合の解雇よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。

②雇止め
雇止めとは有期労働契約で、その契約を更新せず、労働契約を終了することをいいます。有期労働契約であっても、無期労働契約と実質的に異ならない状態になっている場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合には、雇止めが認められないことがあります。

有期労働契約の更新時のトラブルを防止するために、労働契約の締結時に書面で更新の基準を示す必要があります。そして、更新に関して「更新する場合がありうる」とした場合には、「契約期間満了時の業務量」「労働者の勤務成績、態度」のように、その判断の基準を具体的に示すことも必要です。

(次号に続く)

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