介護事業所様向け情報(経営)1月号①
令和3 年度税制改正要望 福祉編
今回は、厚生労働省が提出した令和3 年度税制改正要望から、福祉に関する主な項目をご紹介します。令和3 年度は予算の概算要求と同様、新型コロナ感染拡大防止の影響で1 ヶ月遅れの始動です。
子育て支援を中心に3 つご紹介
出産後の子育て支援を中心に、3 つご紹介します。
➢ 産後ケア事業の費用の非課税措置の創設
産後ケア事業とは、市町村が主体となり、産婦や新生児・乳児を対象に、ショートステイ型(短期入所で生活支援等)、デイサービス型(保健センター等で相談等)、アウトリーチ型(居宅訪問で乳房ケア等)で支援を行う事業です。令和元年に議員立法で成立した母子保健法一部改正で法定化され、令和2 年の「少子化社会対策大綱」で2024 年末までの全国展開が謳われています。
この産後ケア事業は、保険診療等と異なり、現時点では消費税課税対象となっています。これを消費税非課税の対象とすることが、今回の要望に盛り込まれました。
➢ 子育て支援に要する費用の税制上の措置
幼児教育・保育の無償化が実施されましたが、2 歳までの子については、在宅で子育てする家庭に対する子育て支援サービス利用料負担を国費が支える仕組みはありません。一部の地方自治体で独自の補助が実施されていますが、所得税法上、雑所得として計上される等、現行法では施策の効果が薄れてしまっている事実もあります。また、コロナ禍で保育所の利用が困難となり、ベビーシッターサービスが注目を集めました。
これらの事情を鑑み、子育てと仕事の両立を支援するため、ベビーシッター等の子育て支援に係る費用について、税制上の措置を講じることが要望されています。
➢ 心身障害者多数雇用事業所の特例の延長
心身障害者を多数雇用する事業主が事業用施設等を取得した場合の不動産取得税の減額措置及び固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2 年延長することが要望されました。
なお、上記以外に、サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種による健康被害の救済
給付に関する税制上の所要の措置等も要望されています。
参考:厚生労働省「令和3 年度厚生労働省税制改正要望について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175981_00006.html
(次号に続く)