【介護・保育】人財定着ブログⅣ4月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは㉒ 」
【介護・保育】人材定着ブログ3月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは㉑」
の続きです。
今回も評価者に是非、知っておいてほしい評価者の心構えと留意点についてお伝えしたいと思います。前号にて評価者エラーの「ハロー効果」と「寛大化傾向」についてお伝えいたしました。今月号は引き続き評価者エラーにおける「中心化傾向」「厳格化傾向」「論理的誤差」「その他留意点」等についてお伝えいたします。
1,「中心化傾向」に注意する
①部下全体の評価結果が評価段階の中央部分に偏ったり、部下個人の各考課項目の評価がB評価ばかりになってしまい、優劣の差が少ない評価となることを中心化傾向という。下記のような場合に起こりやすいエラーです。
・考課者が自分の評価に自信がない場合
・考課結果に差をつけることをためらう(意識的・無意識的に)
・厳しい評価は、部下の反発にあうのではないかと考える
・被考課者に直接指示を出しているわけではないので、よくわからない
②対応策
・部下の日常の仕事振り・行動・発言などをなるべく具体的に観察・記録し考課項目の
選択時に迷わないように整理しておくこと。
・部下を指導・育成することが管理者の重要な役割であり、そのためには部下の強み・
弱みを公正に把握・評価することが前提となることを認識
・評価に迷いがある場合は考課者間ですり合わせをし基準を共有化すること。
・他のメンバーの監督下にある場合は、監督者から逐次報告を受けること。
2,「厳格化傾向」に注意する
①被考課者に対する感情がマイナスに作用する傾向であり、日頃の思いが辛い評価と
して表れる。厳格化傾向が働くのは、日頃管理者が特定の部下の態度や素行に否定的な感情を抱いている場合に発生しやすい。
② 対応策
・被考課者に対する感情や先入観は人事考課の公正さを失わせる事を認識する
・被考課者の成果、仕事を具体的に記録し、事実に基づいた評価を行う
・全体的な印象評価は行わず、考課要素毎に分析的な評価を行う
・辛い評価は、部下のモチベーションを低下させる場合があることを認識する。
3,自己投影型・対比誤差(自分と比較して考える傾向)に注意する。
①考課者が部下の中に自分との類似性や非類似性を発見し、自分自身を評価の基準としてしまうこと
人間は、一般的に他人が自分と同じような行動や意見や価値観をもっていると、
その人に好意を抱く傾向があります。このため、部下が自分に似ている行動や、
意見を言ったりすると、自分と価値基準が合っていると感じ、その人を優れている
と高く評価し、反対に行動・意見・価値観が異なっていると低く評価しがちです。
また、自分に自信のある得意分野や高い専門性を有する分野に関しては、自分と比較して、相手を厳しく評価し、逆に自信の無い分野の場合は評価が甘くなる傾向にあります。
② 対応策
・部下の現在の等級段階の社員だと、会社は標準的にどの程度の仕事や能力を期待しているのだろうかということを強く意識する。そして、管理者としてそれに相応しいレベルの期待をし、指示した仕事の内容やそのレベル、行動、能力を明確にする。自分のレベルと比較しないで、あくまで標準レベルに対して評価する。
・人の考え方や行動パターンは一見同じように見えても、よく観察すると実は1つ1つ
は異なっていることを十分理解し、事実だけを客観的に評価するように心がける。
4,論理的誤差(項目を関連付ける傾向)に注意する。
①考課を行う際、考課基準表にそって各項目を順番に評価していくと、前に評価した項目との相互間に論理的な関係があると思い込んでしまい、関係ある前の項目と同じ評価でないと論理的におかしいと考えてしまう評価傾向
○さんの理解力はBで、判断力はSとなっているが、よく考えると理解力が低いのに、判断力が高くなるはずが無いと思い直して ○さんの判断力の評価をSからBに変えてしまい、同様に他の部下の評価も変更してしまうようなケース
② 対応策
・考課項目は一つ一つ独立したものだと考え、観察・記録した内容を1つの事実として素直に評価する態度で臨み、理屈を考えすぎない。
・人の行動面とその結果は必ずしも一致するとは限らないことを理解する(まじめな勤務態度の部下が高い業績を上げるとは限らない)
・評価終了後、改めて部下全員の評価結果を点検し,多くの部下の特定の考課項目の相互間に同じ評価をする傾向が生じていないか自己チェックしてみる。
5,その他の留意点
①評価対象期間外に生じた事実は考慮しない
「以前こうだったから、今もこうだ」という見方はしないこと。
②職務外の行動は考慮しない
私生活上の問題や職務行動を離れた個人的なつきあいなどを評価しないこと。
③短絡的な結びつけをしない
評価者の頭の中で、一見論理的に関係ある事柄を短絡的に結びつけがちであるが、事実は個々に見ること。例えば、「勤続が長いから熟練度が高いはずだ」というような見方は避ける。
④属人的な要素は考慮しない
勤続年数、経験年数、年齢、男女、学歴等は一切考慮しない。
⑤逆算化傾向を避ける
予め評価点(結果)を想定して、そうなるように部下を評価しない。人事評価は全て事実に基づいた結果・能力の発揮度を評価する。
⑥時間と心にゆとりを持つ
十分な時間的余裕を持って、心身共にゆとりのある状態のもとで集中的に行う。評価中に別の用事をしたり、他人と話し合ったりすると評価がブレるもととなります。
さて、次回は評価結果を被評価者につたえる「フィードバック面談」についてお伝する予定です。