医療事業所様向け情報(労務)3月号①
マイナンバーカードの2021年3月からの健康保険証利用
全国のマイナンバーカードの交付状況は、2021年1月1日現在、全国で24.2%となっています。まだ交付率は低いものの、2021年3月からはマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになり、マイナンバーカードの活用の場が広がります。そこで、実際にマイナンバーカードを健康保険証として利用する場合のメリット等を確認しておきましょう。
1. 健康保険証利用のメリット
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関や薬局(以下、「医療機関等」という)には、「マイナ受付」に対応しているとしてステッカーやポスターが掲示されます。そのような医療機関等では、顔認証付きカードリーダーが用意され、顔認証で本人確認と保険資格の確認が実施されます(暗証番号の入力でも可能)。これによりスムースな受付になると予想されます。
また、医療費が高額となるときに利用できる高額療養費に関する手続きについて、マイナンバーカードの利用により、オンライン資格確認等システムで情報が取得できることになり、支払い後の高額療養費の請求や、受診前の限度額適用認定証の発行の手続きを行わずとも、医療機関等の窓口での限度額を超える支払いをする必要がなくなります。
その他、マイナポータルからe-Taxに連携することになるため、医療費の領収書を保管することなく確定申告ができることになります。
2. 健康保険証として利用するための手続き
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、マイナンバーカードの交付を受けた後に、利用者本人がマイナポータルで申し込む必要があります。マイナンバーカードを健康保険証として利用するにあたり、会社が手続きすべきことはありません。
なお、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになるものの、健康保険証自体がなくなるわけではなく、2021年3月以降も従来通り健康保険証を使った受診が可能です。
また、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる手続きを行った後でも、医療機関等にマイナンバーカードを持っていくことを忘れた場合等には、健康保険証を提示することで被保険者等の資格確認が行われます。
2021年3月時点で、すべての医療機関等においてマイナンバーカードを健康保険証として利用できるわけではありませんが、厚生労働省は医療機関等がシステム整備を行う際の支援
をしており、2023年3月末には概ねすべての医療機関等での導入を目指すこととしています。政府は今後、マイナンバーカードの機能を拡大していく予定であり、従業員から問い合わせがあった際にはメリットを説明の上、手続きを勧めてもよいでしょう。
(次号に続く)