Q,以前、役所から送られてきた資料に、採用面接で家族に関することを質問する ことは不適切です、と記載されていました。これまで面接の空気を和らげるため に、家族に関する質問などをしていましたが、なぜ問題があるのでしょうか?
A, たとえ面接の空気を和らげるためであっても、家族に関することなど、適性と
能力に関係がない事項を採用面接時に質問し把握することは、就職差別につなが
るおそれがあります。この機会にその他の項目についても、不適切な質問をして
いないか確認しましょう。
詳細解説: 2018 年度にハロー ワークが、不適切な 採用選考の実態につ いて把握した状況に よると、応募者から 「本人の適性・能力以外の事項を把握され た」との指摘があったもののうち、家族に関 することが 42.9%を占めました。面接者が悪 気なく、面接の空気を和らげるためにさまざ まな質問をするケースが多いようですが、適 性や能力に関係がない事項を採用面接時に質 問し把握することは、就職差別につながるお それがあります。不適切な質問の例としては 下表のようなものが示されています。 「いままでもそのように質問してきたか ら」「差別するつもりはないから」といった 判断で、質問内容を見直さないでおくと、不 適切な質問に該当している危険性がありま す。この機会に、自院の採用面接における質 問について問題がないか確認しましょう。 【家族に関すること】 × 「家族構成を教えてください」 × 「父親の勤務先を教えてください」 不適切な理由: 本人の責任でない事柄で採否を判断しようとしていると みなされます。 【住宅に関すること】 × 「家は持ち家ですか、借家ですか」 × 「家の周辺にどんな施設がありますか」 不適切な理由: 採用後、施設に損害を与えた場合の補償能力を判断した り、家柄や育ちの良否を推量し偏見をもって応募者の人 格を判定することにつながるおそれがあります。 【思想・信条にかかわること】 × 「尊敬する人物は誰ですか」 × 「愛読書は何ですか」 不適切な理由: 憲法で保障されている個人の自由に属することであり、 採用選考の場で持ち出すことは、基本的人権の侵害にあ たると判断されます。 【男女雇用機会均等法に抵触すること】 × 「結婚、出産しても働き続けられますか」 不適切な理由: このような質問を行うことは、男女雇用機会均等法等の 趣旨に違反する採用選考につながります。 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティン