A,当園の保育士の一人が現在妊娠しているのですが、出産のために休業を請求しようとしている時期が丁度、当園の繁忙期と重なることについて、他の年長の保育士が、その保育士に心無い言葉をかけたようです。園としては、この年長の保育士に対して何らかの措置を講じる必要があるのでしょうか。また、マタニティーハラスメントに関して、園として行うべきことはあるのでしょうか。
Q、マタニティーハラスメント(以下「マタハラ」)とは一般に働く女性が妊娠出産を理由として解雇そのほか不利益になるような扱いを受けたり、精神的、身体的な嫌がらせを受けることを意味します。
保育所は女性の多い職場環境であることもあり、それぞれの妊娠・出産に関する価値観の違いから、保育士間で、本人に自覚のない心無い発言がなされ、マタハラが問題になるケースは少なくありません。
これら「マタハラ」に関する法改正でも、事業主に対してマタハラ対策を講じることが義務付けられています。すなわち、事業主は、従前から、妊娠、出産および育児休業を理由とする解雇そのほかの不利益取り扱いを禁じていましたが、改正法施行により、新たに職場における他の同僚に対するマタハラに関する言動により就労環境が害されることがないよう、これを防止する措置を講じる必要があるものとされました(育児介護休業法25条)。
(1) 事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
以下の事項について、就業規則などの規定や文書に記載し周知・啓発が必要となる。
① 妊娠・出産・育児休業に関するハラスメントの内容
② 妊娠・出産・育児休業に関する否定的な言動がハラスメント発生の原因や背景となること。
③ 「ハラスメントがあってはならない」旨の事業主の方針
④ 相談に応じ、適切に対応するための相談窓口の設置
(2) マタハラにかかる事後の迅速かつ適切な対応
マタハラの相談があったときは、まず事実確認を行い、確認ができた時には、速やかに被害者に対する配慮の措置を行うとともに、行為者に対して、懲戒処分などの措置を適正に行います。また再発防止に向けて、改めて保育所における教育研修を実施することも必要になります。