医療事業者様向け情報(経営)6月号①
電話・オンライン診療、特例措置から 1 年
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に関する特例措置として、初診からの電話による診療やオンライン診療が時限的に認められています。開始から 1 年。厚生労働省が 3 ヶ月毎に実施している調査※1より、実施状況を探ります。
初診から実施可能 15%、実施報告数 1%
初診から電話やオンラインによる診療を実施できる、として登録した医療機関数は、今年1 月末時点で 7,089 でした。これは、全医療機関数 110,898※2(以下、全体)に対して、6%程
度の数です。
また、実施報告をした医療機関数は、昨年 4月~12 月のうち、5 月の 1,313 と 7 月の 962 を除き、600~700 前後で推移しています。これは全体の 0.6%前後に相当します。
なお、実施報告件数の大半が電話診療です。
利用者は 10 歳以下とサラリーマン世代
受診者の年齢階層別の割合をみると、10 月~12 月の受診者のうち最も割合が高いのは、電話診療、オンライン診療ともに 0~10 歳で、電話診療が 38.6%、オンライン診療が 42.0%です。
電話診療は11~20歳の14.7%が次いで高く、20 歳以下で過半数を占める結果となりました。
他方、オンライン診療は 31~40 歳の 16.8%が次いで高く、21~30 歳の 13.2%や、41~50歳の 11.1%を加えると 41.1%と、労働者中心の年齢層(21~50 歳)での利用も多い、という結果となりました。この労働者中心の年齢層は、電話診療でも利用が多く、33.4%ありました。
なお、61 歳以上は、電話診療 7.8%、オンライン診療 4.9%でした。高齢者の利用がほとんど見られない結果となっています。
対応は「薬剤の処方+自宅待機」が大半
この特例措置は、対面による診療が必要と判断される場合は、速やかに対面診療に移行することを要件としています。他方で、報告された医師の対応方針の大半が、薬剤を処方して自宅
待機させるものでした。この傾向について、疾患による対応の差はほぼ見られません。
特例措置は「感染が収束するまでの間」とされていますが、継続も検討されています。今後の展開にもご注目ください。
(※1)厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会資料「令和 2 年 10 月~12 月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果」https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000759845.pdf
(※2)医療施設動態調査(2020 年 4 月末概数)における病院及び一般診療所の合計数
(次号に続く)