介護事業所様向け情報(労務)8月号②
傷病手当金の通算や育休中の社会保険料免除に関する法改正
2021年の通常国会では、育児・介護休業法の改正のほかに、健康保険法や厚生年金保険法の改正案が成立しました。対象となる従業員への影響が大きな内容を含みますので、以下で改正点を確認しておきます。(各項目の括弧内の日付は施行日)
1. 傷病手当金(2022 年1月)
健康保険の傷病手当金は、支給が開始された日から起算して、最長1年6 ヶ月まで支給されます。この1 年6 ヶ月の間に、⼀時的に就労した期間(傷病手当金が不支給となる期間)がある場合には、その就労した期間も含めることになっています。
近年はがん治療など、長期間にわたって療養のため休みながら働くケースが増えて来ています。こうした状況に対応し、治療と仕事の両立の実現するため、就労した期間は含めず、傷病手当金が支給された期間を通算して最長、1年6ヶ月間、支給されることとなります。
2. 育休中の社会保険料免除(2022 年10 月)
育児休業(以下、「育休」という)中は、申し出により社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)が免除されます。この免除となる基準が見直され、以下の通りとなります。
①育休を取得する月にかかる社会保険料
月末時点で育休を取得しているときは、その月の社会保険料が免除される。これに加え、育休の開始日の属する月は、月末時点で育休を取得していないときでも、その月中に 2 週間以上育休を取得していれば社会保険料が免除される。
②賞与にかかる社会保険料
月末時点で育休を取得しているときは、育休の取得日数に関わらず、その月に支給される賞与にかかる社会保険料が免除されていたものが、今後は育休を取得する期間が1ヶ月を超える場合に限り、免除される。
3. 任意継続被保険者制度(2022 年1月)
従業員は、退職した後でも⼀定の要件を満たせば、任意継続被保険者として退職前に加入していた健康保険の被保険者となることができます。
任意継続被保険者が負担する健康保険料は、会社が負担していたものを含めてその金額を負担します。この保険料の算出根拠について、「従前の標準報酬月額または全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額」となっていたものが、健康保険組合は規約で、従前の標準報酬月額とすることができるようになります。
また、任意継続被保険者の資格の喪失について、任意継続被保険者からの申請によりできることとなります。
育休中の社会保険料免除は、これまで以上に期間の管理が重要になります。また改正点について、従業員からの問い合わせも想定されます。詳細な情報を今後確認していきましょう。