保育事業所様向け情報(労務)8月号③
国家公務員の定年延長の動き
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長 今後、国家公務員の定年が65 歳に引上げられると耳にしました。当社でも技能の伝承や人材の確保といった観点から定年延長について検討が必要ではないかと思っています。
今回の法改正の内容について教えてもらえませんか?
社労士 主な点としては3 点あります。まず1点目が定年の段階的引上げです。このように、定年が2023 年度から2 年おきに1歳ずつ引上げられて、2031年度に65 歳とされます。
総務部長 なるほど。2031年度以降は定年が65 歳となるということですね。
社労士 2 点目が役職定年制の導入で、組織活力を維持するため、管理監督職(指定職および俸給の特別調整額適用官職等)の職員は、60 歳(事務次官等は62 歳)の誕生日から同日以後の最初の4 月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動となります。これは、民間企業においてすでに取り入れられている、いわゆる役職定年制のことですね。
総務部長 定年を延長すると、役職が空かずに次世代を担う人材が管理監督職の経験を積めないという課題が想定されますので、その一つの対応策ということなのでしょう。
社労士 そして、3 点目が60 歳に達した公務員の給与であり、人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、公務員の俸給月額は公務員が60 歳に達した日後の最初の4 月1日以後、その公務員に適用される俸給表の職務の級および号俸に応じた額に7 割を乗じて得た額とするとしています。
今回の話は国家公務員ですので、民間企業において直接的な影響はありませんが、今後、定年を延長する場合の給与の設定におけるひとつの参考数値としてとらえることができると思います。
総務部長 たしかに以前、定年を引上げる話題になったときに、給与や賞与、退職金はどうするのかという結論が出ずに立ち消えになりました。
社労士 今回の動きは民間企業に先行する動きであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になるでしょう。自社の高年齢者の活用をどのようにしていくのか、検討の際に不明点等がございましたら、お声掛けください。