介事連・斉藤氏「次の介護報酬改定、過去最大規模の引き下げもあり得る」
今年4月の介護報酬の引き上げはあくまで一時的なもの。2024年度の次期改定は、2015年度のマイナス2.27%と同等かそれ以上の引き下げもあり得る」。
そう警鐘を鳴らすのは全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長だ。7月28日に開催されたオンラインセミナーで、「事業者はパラダイムシフトを起こさなければいけない」と強調。今年度から本格稼働に至った新たなデータベース「LIFE」の積極活用などを重ねて呼びかけた。
斉藤氏は悲観的な見通しの根拠の1つに、コロナ禍で国の財政が一段と悪化したことをあげた。ワクチン接種などで事態が収束へ向かうタイミングで、政府は強烈な給付費の抑制策を断行すると予測。3年後には極めてシビアな報酬改定が待っていると分析した。
そのうえで、「2024年度以降の報酬改定では間違いなく、利用者のADLや口腔機能、栄養状態などの改善を図るLIFE関連のアウトカム評価が多く作られていく。こうした加算を取らないと経営は厳しくなる」と指摘。「LIFEをうまく活かすには半年から1年ほどの準備期間が必要。今のうちから考えていかないと対応できなくなる」と促した。
あわせて、「従来の体制のままで『LIFEに取り組め』と職員に言っても無理。生産性の向上、現場の負担軽減に努め、LIFEに取り組める時間を作ってあげないといけない」と説明。続けて以下のように語った。
「厚労省は今回の改定で、科学的介護、自立支援・重度化防止などに取り組む事業所が生き残れる環境を用意した。逆に取り組まない事業所は淘汰されていってもやむなし、という方向へ舵を切ったというメッセージを暗に示したのではないかと思う」(介護ニュースJOINT)