Q, 若手優秀な職員に対して、管理職登用の内示をしたところ、「自分より年齢が上の職員を含めてマネジメントする自信がない」という理由から昇進を拒否してきました。このような職員に対してはどのような対応が必要でしょか?

A,

1 昇進の法的性格と昇進命令権

このケースで問題になっている「昇進」とは役職の上昇を意味するもので、「昇格」とは異なります。ちなみに昇格とは職務等級上の上昇を意味するとされています。ご質問のケースの昇進でありますが、特に役職者への昇進に関する人事については、管理者として能力や適性などを法人の基準で、総合的な判断で行わるものであり、また、だれを役職者として昇進させるかは、法人の経営上にも非常に重要な問題です。したがって、昇進人事については法人の広範な裁量が認められるものと解され、法人は原則として自由に職員を昇進させることが可能であると考えられます。したがって、昇進対象者には一方的な人事命令として昇進命令権を行使することが可能と考えられます。

 

2,昇進命令権の限界と対応

昇進は、法人に勤務している者にとっては栄誉といえる行為ですが、近時、職責へのプレッシャーなどから管理職への昇進が拒否されるような事例がみられるようになりました。

特に介護職においては、このようなケースはとても多くみられます。

 

このような場合、昇進を拒否する候補者を昇進させたとしても、その職責を責任をもって全うするが期待できないため、昇進を見送らざるを得ない場面もありますが、一方では、先述のように会社の人事権行使という非常に重要な権限である昇進に対すて、拒否がまかり通るようになれば、事業運営として立ち行かなくなることも明白です。

 そこで、法人としては、秩序維持の観点から、昇進拒否者に対して厳しい対応、例えば懲戒処分などをとらざるを得ない場面もありますが、同時に、管理職に対する待遇の見直しなども検討し、昇進拒否といった事態が発生しないような環境づくりをしていくことも求められているのではないかと考えます。

お電話でのお問い合わせ

03-6435-7075(平日9:00~18:00)

営業時間外のお問い合わせはこちらから

相談・ご依頼の流れはこちら