東洋大・高野准教授、LIFEの中長期展望に期待 「まだデータ収集段階。今後は…」
《 東洋大学ライフデザイン学部 高野龍昭准教授 》
今月13日から15日にかけて千葉県の幕張メッセで開催された「医療と介護の総合展」で、東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭准教授が講演した。
今年度から本格的な運用がスタートしたLIFE(科学的介護情報システム)について、「介護報酬改定の最大のポイント。非常に重要な取り組み」と評価。「今はまだデータを集めている段階。介護現場の皆さんは非常に大変なはず」と思いやりつつ、中長期的にはサービスの質の向上など良い結果につながると呼びかけた。
高野准教授は講演の中で、「データが蓄積されていけば、一定の指標、判断基準が揃っていく。サービスの標準化を促しつつ、質の評価ができるようになる」と解説。そのうえで次のように語った。
「栄養状態を改善するため、手足の動きを良くするため、認知症のBPSDを軽減するためには、こういう対応がその人の状態に最も合っている − 。そうしたことが分かっていく。介護では医療と違ってかなり属人的に判断・決定されることが多いが、本当はサービスの標準化が必要な部分もたくさんある。そのためにはまずデータの整備が欠かせない」
高野准教授はあわせて、「LIFEで介護の全てが標準化できるのかというと、そんなことはまったくない。真に社会的な側面、その人の生き方や価値観、人間関係、意欲、そうした部分はなかなかデータ化になじまない。標準化は難しい」と指摘。「標準化しようとしているのは心身機能の維持・改善と栄養改善の一部の取り組みだけだ、という指摘もある。最初はそれだけでもいいと思う。LIFEもバージョンアップを重ねていく。データをもとに介護サービスを見直していこうという試みは大切なこと」と述べた。(介護ニュースより)