【まとめ】全世代型社会保障と公的価格の新会議、初会合でどんな意見が出たのか

 

《 9日に開催された合同会議)》

9日、岸田文雄首相が新たに立ち上げた2つの会議が合同で初会合を開いた。「全世代型社会保障構築会議」と「公的価格評価検討委員会」だ。

この日は年内にまとめる"中間整理"などを念頭に、委員が順番にそれぞれの持論を語った。どんな意見が出たのか、介護職の賃上げ以外のテーマも含め発言のポイントをまとめた。

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全世代型社会保障構築会議、公的価格評価検討委員会の合同初会合の構成員発言要旨

○ 社会保障改革の目的は持続可能な形で将来に伝え残すこと。その中で、経済の支え手を増やす方向で社会保障を構築すべきだ。1つの手法が就労対策。厚生年金の適用拡大が重要となる。

○ 経済の支え手を増やすという観点では、女性や高齢者の就労促進が重要。そのために、保育や介護のサービス充実が求められている。働く人の労働条件を改善するような形。これまでの社会保障改革の議論で残されてきた課題に、この構築会議で取り組んで欲しい。

○ 年金については被用者保険の適用拡大が非常に重要。"勤労者皆保険"は1丁目1番地。

○ コロナ禍の教訓を踏まえ、地域医療構想の推進、かかりつけ医の役割、都道府県の役割を強化する形での医療制度改革が必要。

○ 今後の人口構造の変化を見据え、引き続き持続可能な社会保障の構築に向けた検討が必要。日本社会の不安の1位は、10年連続で社会保障による財政の悪化。「国民の不安解消」という観点と「成長と分配の好循環」という観点からの改革が重要。

○ 子どもたちが良質な保育と幼児教育を受けられるようにすることが重要。親自体もワークライフバランスが確保され、安心して働ける状態であることが大切。

○ 全てのエッセンシャルワーカーの処遇について検討が必要。

○ 人口減少社会は「人口収れん社会」。実験的な考え方も含めて検討することが大事。人口が減った後でも、効率的な経済の仕組みを作ることで社会の安定性が高まる。

○ 労働の自動化を進めていくことも大事。そうした観点からの規制緩和も検討してはどうか。ライフスタイルをいかに変えていくのか、というテーマもこの議論の基本にある。

○ 社会保障の改革は将来の働き方や生活に大きく影響する。働き方、ライフスタイルに中立的な制度を構築することが大事ではないか。

○ 社会保障改革を経済財政と一体的に考える必要がある。経済財政の課題が社会保障に大きく影響する。分配や格差の問題が放置されたままでは、社会保障の課題が大きくなってしまう。社会保障の改革を通じて解決される問題もある一方で、経済財政の課題の解決が社会保障の改革につながることもある。

○ 国民生活に直結する社会保障は政治的にも争点化しやすい。党派を超えた議論の枠組みも必要ではないか。

○ 社会保障の給付と負担の関係が議論されるが、年金や医療などそれぞれ個別に行われているのではないか。横串を差した大局的な議論をして欲しい。

○ 介護職の処遇改善は、「処遇改善加算」の取り組みの効果など、制度改正の結果もみていく必要がある。

○ 医療のIT化が遅れているという指摘もある。医療データの有効活用という視点も非常に重要。

○ 働きやすく、住みやすい地域作りには社会保障が大切。課題は財源があってもサービスの担い手がいないこと。困っていて支援が必要であっても、そこにアクセスする方法が分からない人がいること。情報をしっかり届けるための体制整備も必要ではないか。

○ 雇用形態の違いから格差が生じないようにすることに賛成したい。近頃の働き方をみると、雇用された労働によらずに収入を得られる可能性が増えてきている。そうした中で"勤労者皆保険"の実現は重要。雇用を軸としない制度も検討したらどうか。

○ 賃上げを行っても社会保険料の増加などで相殺されてしまう。可処分所得が伸びなければ消費に回らない。現役世代の保険料負担も重くなっている。

○ 負担能力がある高齢者に支えて頂き、現役世代の負担増を抑えたり、少子化対策を充実させたりする発想も必要。こうした全世代型社会保障の改革を、分配戦略の柱とすることも検討して欲しい。

○ 2024年は診療報酬、介護報酬の同時改定の時期。年金の財政再検証も予定されている。その時になって慌てるのではなく、今の段階からこの会議でしっかりと内容を検討していって欲しい。

○ 給付と負担の予見可能性を高めることで、将来に対する不安を軽減させられる。社会保障と財政の持続可能性を高めることが重要。

○ 納得感のある改革が必要。賃上げの議論もあるが、財源を負担する側にとって納得感のある制度にしていって欲しい。

○ 男性の育児休業やフリーランスの支援なども重要。子育て環境や共働き世帯への支援を強化することで労働力供給を増やすべき。就業を妨げている制度の見直しも検討してはどうか。

(介護ニュースより)

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