Q 当園職員の不満第1位は、時間外労働が多いこととあり、とてもショックでした。これまで遅くまで熱心にやってくれているとばかり思っていました。現在の残業代は、全員に月3千円の調整手当を支払っています。また実際にどのくらいの残業時間があるのかを把握していません。どう対応したらいいのでしょうか?
A、まず、残業代として支払っている調整手当ですが、この方法は、残業をやってようが、いまいが、一律に支払われるもので、決して公平に支給されるものではありません。また、これを行うことで事務が簡素化されるかと言えば、支払っている手当を超過した分についてはやはり残業代の支払いが必要になることを考えれば、しっかりとした労働時間管理が必要になりますので、事務簡素化にもあまり効果はないと言えます。さらに最も重要な点は、このような制度を続けることで、管理者側、従業員側双方ともに、労働時間管理に関する認識が「甘く」なることが考えられます。これは、今求められる「働き方改革」を推進するうえでも大きな課題となります。
そこで、時間外労働の実態を把握するため、時間外労働は事前に申請するというルールを取り入れ、さらに調整手当を廃止して、実態に沿って、適正に時間が労働手当を支払うことをまず行うべきかと思います。
まず就業規則には、「職員が時間外労働を行う場合には、事前に申請し、園長の業務命令を受けなければならない」と定めます。そして、時間外労働届け出書を導入し、事前申請ルールを運用します。そして、調整手当を賃金規程から削除します。ただしこの場合、不利益変更に該当する場合がるので、その場合には慎重に対応してください(対応方法については
社労士などにご相談ください)。
時間外申請書を受けた園長は、緊急性が高い業務か、園運営に必須の業務か、重複していないか、職員間で調整できないか等検討し、必要であれば時間外指示を行います。このようなルールの実施は、現在と比べ各職員の負荷が大きいように感じますが、仮に大変でも、労働時間と給与という非常に重要な管理なので、しっかりと行うことが必要です。
また、このような管理を始めた園からは、残業として突出していたのは書類作成と教材準備といった日常業務ということがわかったということで、今後は、業務時間内にノーコンタクトタイムをどう確保するかを検討していこう、というこで、課題が明らかになったと
園長は仰っていました。