次の介護保険制度改正の議論はどう進む? 焦点を総ざらい
去る3月24日、社会保障審議会・介護保険部会が約1年8ヵ月ぶりに再開されました。【高野龍昭】
おそらく、年末までにかなりの頻度でこの部会が開催され、2024年度施行の改正介護保険法の「骨格づくり」に向けた議論が行われ、12月(おそくとも来年1月)にはその意見が取りまとめられるでしょう。
そして、それを基に厚生労働省内で改正介護保険法の法案が作成され、来年の通常国会に提出、来年6〜7月の会期末までには成立・公布、2024年4月に施行というスケジュールで次期制度改正が進捗することになります。
この次期法改正に向けた議論はどんなことがポイントとなるのでしょうか。
最近の政府の政策方針を示す様々な意見や議論(たとえば『新経済・財政再生計画改革工程表2021』や『成長戦略フォローアップ』など)を読み解くと、次のような改革の必要性が明示されています。これらが2024年度の制度改正に向けた重要な論点となるはずです。
最大のポイントは、要介護2までの軽度者について、訪問介護(生活援助)、通所介護、福祉用具貸与・購入、住宅改修を保険給付から外し、いわゆる総合事業に移行するかどうかという点です。あわせて、福祉用具貸与などの品目の見直しも議論されるでしょう。
次に、ケアマネジメント(居宅介護支援・介護予防支援)における利用者負担の導入を行うかどうかという点も議論されるはずです。この点は2012年度の制度改正の際の議論以降、継続的に検討されており、注目される点となります。
さらには、利用者負担の定率負担について所得の基準を見直すこと、2割・3割の対象者を拡大すること、補足給付における食費等の負担額を見直すこと、老健施設や介護医療院の多床室の居住費負担を保険給付から外すかどうか、保険者機能強化推進交付金の評価基準をどのように見直すか、LIFE(科学的介護情報システム)など介護分野のデータベースと医療分野のデータベース(NDB)との連結をいかに行いどのように活用するか、といった点も俎上に載せられることとなります。
私は、近年の介護保険制度改革は、一貫して「保険給付範囲の見直し」と「利用者負担の見直し」の2点が通底したポイントであり、そこに最近になって「保険者機能の強化」(特に自立支援・重度化防止の側面)と「データヘルス改革」の観点が組み込まれてきたと分析しています。実際、上記の諸点も、すべてここに集約されると言ってもよいでしょう。
一方で、介護報酬や各種基準に関連するLIFEの利活用の一層の推進や、それによるアウトカム評価などに紐づけた加算などの拡大、ICT化/DX化を見通した人員基準の緩和などは、おそらく2023年初めから本格再開されるであろう社会保障審議会・介護給付費分科会で議論され、2024年4月の報酬改定に向かうこととなります。
いずれの点も、介護実践現場・行政・研究の各分野での注視が必要です。(介護ニュースより)