4 月から年金手帳は廃止され基礎年金番号通知書の発行へ
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長
4 月になり、高卒者2 名、大卒者1 名が入社しました。その初々しさが職場によい影響を与えているようです。
社労士 早く職場に慣れて活躍する従業員になって欲しいですね。
総務部長 ところで彼らの社会保険の手続きをしたのですが、高卒者の2 名について、昨年まで会社に送られてきていた年金手帳が送られてきていません。発送が遅れているのでしょうか。
社労士 実は今年(2022 年)4 月から年金手帳に代わり「基礎年金番号通知書」(以下、「通知書」という)が発行されるようになりました。そして、会社に届いていた年金手帳は通知書として加入者の自宅に送付されるようになっています。
総務部長 なるほど、従業員の自宅に通知書が届いているのですね。
社労士 はい。年金手帳には加入する年金の記録を記載する欄がありましたが、通知書は氏名や生年月日、基礎年金番号が書いてある書面になります。
総務部長 ところで、大卒者には年金手帳の提出を求めていました。手続きではマイナンバーを利用しているので提出が不要ではないかと感じているのですが、いかがでしょうか。
社労士 マイナンバーが導入され、基礎年金番号との紐づけも進みました。会社が社会保険の手続きをする際、個人番号(以下、「マイナンバー」という)を記載すれば基礎年金番号の記載は不要なので、マイナンバーの提出ができない人のみ年金手帳や通知書を提出することとしてもよいかもしれません。
総務部長 承知しました。提出してもらった年金手帳を返却する手間もあったため、次に入社する従業員からはマイナンバーカード等を提示してもらうことで、省略することにしたいと思います。
社労士 そうですね。ちなみに、基礎年金番号は手続きが終わった後に送付される「健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬月額決定通知書」にも記載されるため、従業員が年金手帳等を提出しなくても把握できます。
総務部長 そうでしたか。一度、確認してみます。ありがとうございました。
ONE POINT
① 2022 年4 月より年金手帳が廃止となり、その代わりに基礎年金番号通知書が発行されている。
② 基礎年金番号通知書は初めて公的年金制度(20 歳になったときに国民年金に加入する場合も含む)に加入したときに、加入者の自宅に届く。