小児のマスク、一律に着用求めない考えに見直しへ…専門家組織
厚生労働省の専門家組織は2022年5月19日、屋外や小児のマスク着用について見直しを求める提案を示した。小児のマスク着用は、熱中症リスクや発達への弊害が懸念されていることから、一律に着用を求めないという従来の考え方に戻すことを考慮する時期にあると提言している。
医療・公衆衛生分野の専門的・技術的な事項について、厚生労働省に対し必要な助言等を行う「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第84回会合が5月19日に開かれ、専門家らが日常生活における屋外のマスク着用と、小児のマスク着用について提案を示した。
厚生労働省等はこれまでも、人との距離が十分に確保できれば、屋外でのマスク着用は必ずしても必要でないとの考えを示し、特に気温や湿度が高い夏期は熱中症の予防の観点からも周りの人との距離が確保できるところではマスクを外すことを推奨してきた。
今回の提案では、日常生活において空気の循環により感染リスクが室内に比べて低めとなる屋外でのマスク着用についてあらためて確認。公園での散歩やランニング、自転車等の移動等、屋外で周囲の人と距離が十分に確保できる、または家族のような一緒に過ごすことが多い間柄の人たちであれば、マスク着用は引き続き必要ではないとの考えを示している。
また、屋外で周囲との距離が十分に確保できない場合でも、周囲で会話が少ない、またはほとんどないようであれば、これまでの考え方どおり、マスク着用は必ずしも必要ないとの見解を説明。多数の人が利用する公共交通機関での通勤・通学については、引き続きマスクを着用するとしている。
一方、小児のマスク着用については、オミクロン株の特徴が判明しない中で、小児の感染が多く確認されていたことを踏まえ、2022年2月の基本的対処方針の改定において、保育所や認定こども園等では2歳以上の未就学児についても「発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される児童については、可能な範囲で、一時的に、マスク着用を奨める」とされていた。
今回の提案では、オミクロン株の特徴も判明しつつあり、新型コロナウイルスへの対応が長期化する中で、マスク着用により熱中症のリスクや、表情が見えにくくなることによる発達への弊害も懸念されていると指摘。「従来の考え方(2歳以上の未就学児については、マスク着用を一律には求めず、無理に着用させない)」に戻していくことを考慮する時期にあると考えられる」と提言している。
また、2歳以上の未就学児以外にも、小学校等においてこれまでの考え方を明確化し、「熱中症リスクが高い場合は、登下校時にマスクを外すよう指導」「屋外の運動場やプールでの体育の授業や休憩時間における運動遊びにおいてもマスクの着用は不要とする」等の対応が考えられると提案。十分な距離を確保し、会話を控えること等について指導することは必要だとしている。