「いい会社に学ぶとは」~雑感ですが~
以前、大学院の社会人学生だったときのこと。
「いい会社に学ぶ」ことを目的に、すぐれた経営を行っている多くの事業所に視察をさせていただく事がありました。
この見学会だけではないのですが、「いい会社」を見たり、本を読んだりするときに「何を学べば良いか」ということを考えます。一般的には、「すぐに取り入れられることを学ぶ」というのが、正しい学び方とされていますが、本当にそれでいいのでしょうか?「良いものは徹底的にパクリなさい」と言われる方もおられます。確かに「いいものを素直に学び、取り入れる」ということはいいことでしょう。
ただ、私が見る限り、「いい会社」を作ってこられた経営者は、その前に、まず自分が顧客や仕事、社員ひとりひとりの問題にぶつかって、どん底を味わい、深く深く考え、反省し、どうすればいいのか考え、小さなトライを重ねていきます。そしてようやく、自分なりの「方法」を編み出されています。
つまり、「手っ取り早く解決する方法」を簡単に求めにいく前に「悩み抜く」のが、いい会社の経営者でした。だからこそ、信念が生まれ、継続ができるのでしょう。
元に話を戻すと、いい会社が生み出した「方法」を真似て果たしてうまくいくのか?
私は、本当に学ぶべきは、「手っ取り早い方法を選択しない」とか「あきらめずやり続ける」という「精神」なのではないかと思っています。そして、現実の自分の会社の課題に真摯に向き合い、その精神を活かす。もしかすると、「お手軽な方法」を学ぼうとする精神こそ、間違っているのではないか?いい会社の経営者のお話を聞いていると、そんな気持ちにさえなることもありました。
とはいえ、やはり優れた経営には、学ぶべきヒントはたくさんあると思っています。最近は、そのような会社の根底に流れている経営思想を学び、またお伝えすることが私の社労士としての大切な仕事の一つと認識し、活動している今日この頃です。