【解説】ケアプランデータ連携システムとは何か。介護現場がいま知るべきこと

《 介護保険最新情報Vol.1096 》

厚生労働省が来年4月から本格稼働させると発表した「ケアプランデータ連携システム」。いったいどんなソリューションなのか。6日に発出された介護保険最新情報のVol.1096で、利用できる環境も含めて詳しく解説されている。

◆ 年間で80万円超のコスト減も


居宅介護支援事業所と他の介護サービス事業所によるケアプランやサービス利用票(予定・実績)などのやり取りを、全国的に広くオンライン化して大幅に効率化していく − 。


国が「ケアプランデータ連携システム」を整備する目的だ。煩わしいFAXや紙の手渡し、郵送などをやめられる環境を作り、介護職の事務負担の軽減やサービスの質の向上につなげる狙いがある。


厚労省は今回の通知で、印刷費や郵送費、交通費、通信費(FAX)などの低減が見込めると指摘。業務時間の短縮による人件費の抑制分を含めれば、年間で平均80万円超のコストカットを図れるとの試算を提示した。これを職員の賃上げや人材の新規獲得、職場環境の改善などの原資にもできると呼びかけている。

◆ 介護ソフトが違っても可


では「ケアプランデータ連携システム」はどんな仕組みになるのか。


厚労省によると、これは主に事業所サイドで扱っていく「データ連携クライアント」 と、運用センターで管理されるセキュアな「データ連携基盤」とで成り立つ設計。事業所の担当者は、ケアプランなどのファイルを「データ連携クライアント」からネットに上げ、「データ連携基盤」を介して相手との送受信を実行する。「データ連携クライアント」は、国保中央会のWEBサイトからダウンロード・インストールできるようになるという。


今回の通知では、ケアプランなどのやり取りの具体的な手順が分かりやすく図解されている。次の概略図(通知引用)は、ケアプランデータ《予定》を居宅介護支援事業所から他の介護サービス事業所へ送る際の流れを表している。


まず、ケアマネジャーがそれぞれの介護ソフトでケアプランのファイルを作成し、CSVファイルとして出力。それを「データ連携クライアント」にアップロードし、「データ連携基盤」を介して相手へ送信する。ファイルを受信する介護サービス事業所の担当者は、「データ連携クライアント」からそれをダウンロード。介護ソフトに取り込んで内容を確認する。


次の概略図(通知引用)は逆に、ケアプランデータ《実績》を介護サービス事業所から居宅介護支援事業所へ送るケース。基本的な流れは変わらない。


こうした送受信の前提となるのは、双方が「ケアプランデータ連携システム」を導入していること。お互いの介護ソフトが違っていても問題ない。厚労省はケアプランなどの標準仕様を公表しており、それに準拠していればファイルのやり取り、読み込みはスムーズに行うことができる。


◆ 利用料金は「検討中」


「ケアプランデータ連携システム」を利用するには、Windows10以降のPCや既定の標準仕様に準拠した介護ソフトが必要。厚労省は利用料金について、「調査・研究や先行事例などを参考に、事業所の過度な負担とならないよう検討を進めている」とアナウンスした。


今後のスケジュールについては、自治体を限定したパイロット運用を来年2月から始めると公表。それを4月からの本格稼働につなげていく方針で、「本格稼働後も必要な機能を随時追加していく予定。徐々に利用する事業所が増える想定」と説明している。(介護ニュースより)

 

 

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