保育士の応募が殺到 “働きやすい保育園”が挑む「業界全体の課題を解決するための環境づくり」
東京杉並区にある保育園が「働きやすい職場」として話題になっている。どのようにして保育士が働きやすい環境づくりを実現しているのか、話を聞いた。 【映像】保育業界の暗い常識を覆す “働きやすい保育園”の実態 杉並区のとある保育園。元気いっぱいに遊ぶ子どもたちとそれを見守る保育士たち。こちらの保育園には、あることがきっかけで保育士の応募が殺到しているという。 社会福祉法人風の森・野上美希統括「国の基準の2倍以上の保育士を配置しています」 社会福祉法人風の森が運営する「Picoナーサリ」には、国が基準として定める保育士の数の2倍以上の保育士が在籍。“働きやすい職場”として注目を集めている。
園児たちと離れて休憩する保育士たち
例えば5歳児クラスでは、30人につき1人の配置が国の基準だが、教室には3人の保育士の姿が。メインで子どもたちと接する保育士に加えて、保護者への日報作成を行う保育士など、作業を分担している。 給食を食べる園児たちの傍らでは、園児たちがいる教室とは離れた専用の休憩室で“和気あいあい”とした様子で食事をとる保育士たちの姿が。この園では、全ての保育士が園児たちと離れて1時間の休憩を取っているという。また、勤務時間もシフトによって厳密に守られていて、月の残業時間はほぼ0とのこと。 30代保育士「(前の保育園では)基本的に家で仕事をすることが当たり前だったので、ここではそういうことが無くて驚きました」 40代保育士「休憩をしっかりとること、勤務内で終わることで、より(園児)ひとりひとりと向き合えます」
Picoナーサリ保育園にいる保育士の数
“休憩は取れない、残業は当たり前”といった、これまでの保育業界の常識を覆す働き方。「開園当初は国の基準通りの人員配置だった」と話すこの保育園を運営している社会福祉法人・風の森の野上美希統括に話を聞いた。 「事務の仕事をする時間を確保したり、行事の準備をしたりなど、園を運営していく中で“国の基準通りの配置”だと難しい現実があると分かりました」 こうして2019年ごろから、保育士の増員を開始。現在、この園には国の基準を大きく超える35人の保育士が勤務している。中には、育児との両立を実現させる保育士の姿もある。
一見良いこと尽くしにも思えるが、気になるのはその財源。増やした分の人件費はどこから捻出しているのだろうか。野上統括は「自治体が実施している補助金や助成金をくまなくチェックしている」と明かした。 野上統括「付帯事業と言われる、例えば保護者支援の事業や、小・中学生のボランティアを受け入れるなどを事業として取り組んでいくことで、そういった補助金の方が頂ける形になります」 「また、事務業務をICT化させて事務コストにかかる人件費を削減することで、その分保育士を別に雇うなど、そうした形を取ることで保育士の比率を上げています」 自治体が実施している補助金や助成金の情報をくまなくチェックし、フル活用。さらに、ICTのアプリケーションによる業務のICT化を推進することで保育士増員を実現していると話す野上統括は「勤務時間内に“研修”を終わらせていることもポイントだ」と述べた。 「研修を勤務時間内で行うことができるということも非常に大きいと思います。保育士は“常に学んでいかなくてはいけない仕事”なので、研修を勤務時間で完結できるのは大きなポイントだと思います」
「潜在保育士」の実態
現在、深刻な人手不足だと言われている保育業界。その一方、保育士の資格を持ちながらも、保育の現場で働いていない「潜在保育士」は約95万人を超えるという実態も明らかになっている。 こうした状況に、野上統括は「保育士が働く環境の改善が業界全体の課題解決にもつながっていく」と、保育士業界の課題に取り組んでいく姿勢を見せた。 「業界全体として『働きやすい、長く働き続けられる職場』という認識ができれば、潜在保育士の方も『また働きたい』という流れが生まれると思います。働き方改革を業界全体として行うことで『保育士になりたい』という人を増やしていき、業界の地位向上を目指したいですね」 (『ABEMAヒルズ』より)
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