介護の利用者負担の引き上げで意見対立 ケアプラン有料化を支持する声も=介護保険部会
厚生労働省は26日、次の2024年度の介護保険制度改正に向けた協議を進めている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)を開き、膨張する介護費を賄っていく“国民の負担のあり方”を俎上に載せた。
焦点の利用者負担をめぐり、制度の持続可能性を担保する観点から引き上げを促す声があることを説明。有識者で構成する委員に対し、
○ 2割負担、3割負担の対象者を拡大すべきかどうか
○ 居宅介護支援のケアマネジメントでも新たに徴収を始めるべきかどうか
などについて考えを聞いた。
※ 現行の利用者負担は原則1割。利用者の所得など経済状況に応じて、全体のおよそ5%が2割負担、4%が3割負担となっている。居宅介護支援のケアマネジメントに利用者負担はない。
委員の意見は真っ二つに分かれた。介護の事業者や専門職、利用者の立場を代表する委員らは、総じて慎重論を展開。保険料を支払っている現役世代の立場、企業の立場を代表する委員らは、利用者負担の引き上げを具体化するよう要請した。
厚労省は年内に大枠の方針を決める予定。最終的には政府・与党が決断を下すことになる。物価高騰の動向や政権の支持率なども影響を与えるとみられ、これから年の瀬にかけての議論には曲折がありそうだ
会合では利用者負担の引き上げに反対する意見として、「物価高騰で高齢者の生活は更に厳しくなった」「サービスの“利用控え”が生じる」「結果的に自立支援・重度化防止に逆行する」「適切なケアマネジメントを誰もが受けられる環境が重要」などがあがった。
これに対し、河本滋史委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「現役世代の負担は限界。いずれ制度が破綻することになりかねず、より踏み込んだ見直しを実施して欲しい。利用者負担は原則2割とすべき」と主張。岡良廣委員(日本商工会議所・社会保障専門委員会委員)は、「ケアマネジメントでも受益者負担の導入を検討すべき」と提言した。
また、部会長代理を務める野口晴子委員(早稲田大学政治経済学術院教授)は、利用者が必要なサービスを受けられるように配慮していくことは非常に重要と前置きしたうえで、「今後の更なる高齢化、生産年齢人口の急激な減少を乗り越えるために、制度の不断の見直しは必要。高齢者の負担能力には格差があり、負担をお願いできる人もいる。そうした人に相応の負担をお願いしていくことはもはや避けられない」と語った。(介護ニュースより)
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