“要介護1と2の保険外し”に複数の賛成意見 制度維持のため「重度者に給付を重点化すべき」=介護保険部会
右肩上がりの介護費を賄っていく“国民負担のあり方”がテーマになった10月31日の社会保障審議会・介護保険部会 − 。次の2024年度の制度改正をめぐり、要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村の「総合事業」へ移管する構想も論点の1つにあげられた。
介護現場の関係者は相次いで反対を表明した。その一方で、税金や保険料の負担によって制度を支えている立場の人を代表する委員らが、前向きに検討を進めて欲しいと要請。高齢者の急増と現役世代の急減が同時に進んでいく今後、制度を持続可能なものとしていくためには踏み込んだ改革の実施が避けられない、と理解を求めた。
大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合連合会の河本滋史専務理事は、「現役世代の負担は既に限界に達している。給付と負担のバランスの確保やサービスの適正化を確実に実施すべきで、先送りは許されない」と強調。「要介護者の中でも重度の方へ給付を重点化する観点から、要介護1、2の訪問介護の生活援助などは総合事業へ移すべき。市町村の取り組みに目標を設定し、道筋を定めたうえで、早急に体制整備を進めるべき」と主張した。
日本経団連の井上隆専務理事は、「これから介護サービス需要の増加、生産年齢人口の減少に直面する。専門的なサービスをより必要とする重度の方に給付を重点化していく必要がある」と指摘。「今後の社会保障を支えていくためにも経済の成長、活性化が必要。そのために、現役世代の負担を減らしていく努力も必要」との認識も示した。
このほか、日本商工会議所・社会保障専門委員会の岡良廣委員は、「要介護者に対する生活援助のうち、地域の実情に合わせて実施した方が効果的だと考えられ、かつ可能なものは、保険給付の増加を抑制する観点からも総合事業へ移すべき」と述べた。
この日の会合では、要介護1と2の訪問介護、通所介護を「総合事業」へ移す構想への慎重論が大勢を占めた。「サービスの質が低下する」「担い手の事業者がいなくなる」といった意見のほか、「親などの介護で仕事をやめざるを得なくなる“介護離職”の問題が加速する」との声も多くあがった。(介護ニュースより)
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