次のパンデミックに備え新型インフルエンザ等特措法などを改正へ
政府は7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法と内閣法の改正案を閣議決定した。新型コロナウイルス感染症についてのこれまでの対応への反省から、今後、感染症の発生やまん延の初期段階から政府が迅速に対応できるよう、特措法の規定を見直す。また、内閣法を改正し、政府内の総合調整を行うため内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」を設置するとしている。
■首相の「指示権」発動できる時期を前倒し
特措法の改正ではまず、首相が省庁や都道府県に対して行う指示権を迅速に発動できるように見直す。指示権は現在、緊急事態宣言時やまん延防止等重点措置時に限定されているが、感染が国民生活や国民経済に甚大な影響を及ぼす可能性がある場合は、新型インフルエンザ等対策本部(以下、対策本部)が設置された時点で発動できるよう前倒しする。
自治体の事務代行の規定も見直す。パンデミックで市町村が事務を遂行できなくなった場合、現在は特措法に根拠がある事務で、かつ緊急事態宣言時に限り事務の代行が可能とされているが、感染症法に根拠がある事務については、対策本部が設置された時点から都道府県による代行ができるようにする。
このほか、緊急事態宣言時やまん延防止等重点措置時に、休業など事業者に命令を出す際の「特に必要があると認めるとき」を法令上明確化。自治体が感染拡大防止に必要な財源を確保しやすくするよう、国庫補助率などの特例規定を設ける。
■内閣に「感染症危機管理統括庁」を設置へ
内閣法の改正では、内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」を設置する。いわば「日本版CDC」といわれていたもので、政府行動計画、対策本部、新型インフルエンザ等対策推進会議の事務を所掌する。トップの内閣感染症危機管理監には内閣官房副長官を、管理監補には副長官補を充てる。管理監、管理監補を補佐して重要政策に関する事務を総括整理する内閣感染症危機管理対策官は厚生労働省の医務技監が務める。
改正案の施行期日は、公布の日から6カ月を超えない範囲で政令で定める日とされており、今国会での成立を目指す。内閣官房では、統括庁の人員について、「平時で38人、有事で101人の専従職員を充てる予定」と説明。法案成立時期にもよるが、「準備期間も含め、今年秋ごろには統括庁の設置を目指したい」としている。(医事新報より)
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