通所介護の約半数が赤字 「危機的状況」「介護提供体制が崩壊する」の声=社保審・介護給付費分科会
介護保険サービスの運営基準や報酬などを話し合う国の審議会が20日に開かれ、介護施設・事業所の足元の経営状況がテーマとして取り上げられた。現場の関係者で構成する委員からは、その厳しさを訴える声が相次いだ。
厚生労働省の最新の調査結果では、多くのサービスで利益率が下がっていることが明らかにされている。昨年度の全サービスの平均は3.0%。深刻な人手不足に伴う人件費の上昇などを背景として、前年度から0.9ポイント低下していた。また、福祉医療機構が先月に公表した調査の結果では昨年度、通所介護の実に46.5%が赤字だったと報告されている。
この日の審議会では、日本医師会の江澤和彦常任理事がこうしたデータを踏まえ、「大変危機的な状況」と問題を提起。「介護施設・事業所の経営が立ち行かなくなるのではないか。昨年度のデータは、物価高騰の影響がまだそこまで反映されていないもの。これから本当に存続していけるのか、介護提供体制が崩壊するのではないか、と大変危惧している」と警鐘を鳴らした。
このほか、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長も、「大変厳しい状況と言わざるを得ない」と述べた。また日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は、「人材の派遣・紹介会社への支払いも大きいのではないか」と指摘した。(介護ニュースより)